強迫で見えている世界。

冬咲さおり

第1話

私は強迫という症状と闘っている。

内容を話すと、医者からは

そんな症状は聞いたことない

と言われた。


昔の症状から遡って話そうと思う。

歩いていて、魂が抜けたような感覚。

我がそこに居ない気がして、

今来た道を戻らないと気が済まない。


耳に落ちている葉っぱやタバコが入るんじゃないかという感覚。


洋服を持つのも着るのも大変。


そこから数年

時が経ち、今でも目の見え方は普通の人よりも敏感で、カバン一つ持つだけでも距離感がつかめなくて大変である。


症状が無かったらどれだけ生活がラクか。

症状がない人が羨ましい。


最近はそう思えるくらいの余裕がでてきた。

症状が酷いときはそう思えるくらいの余裕すら無かった。


だけど、私にしか見えない景色、視点、世界があるんじゃないだろうか。


不条理で生きづらい世の中だけど

楽しいこともあるし、

人の痛みはわかる気がする。


この先、また別の病気にかかるかもしれないし、いつ交通事故や殺人事件に巻き込まれるかわからない。


だけど、ふとした幸せを感じつつ

少しずつ前を向いていこうと思う。

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強迫で見えている世界。 冬咲さおり @saorihon9

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