いけいけ勇者様41

最上司叉

第1話

そして俺は知らない部屋で目が覚めた。


姫の近衛騎士隊長に刺されあと俺はどうなったのか分からない。


朦朧とする意識の中で近衛騎士隊長が誰かに殺されたところまでは微かに覚えているくらいだ。


そんなことを考えているとドアをノックする音が聞こえてきた。


【ガチャ】


誰かが入ってきた。


俺はドアの方に顔を向けようとした瞬間背中に痛みが走った。


「ツッ」


「大丈夫?」


慌てて駆け寄ってくる。


魔王だった。


「ま…おう…か」


「うん」


「ここ…は…どこ…だ?」


「お城の客間だよ」


「そう…か」


「目が覚めて良かった…」


魔王は泣き出してしまった。


「あ…りが…と…う」


「1週間近く意識戻らなかったからもうダメかと…」


「そん…な…に」


「うん」


「これ魔法使いから預かってきたの」


「?」


「目が覚めたら飲ませてって」


「…ゴクン」


身体が温かくなっていくのを感じた。


「少し…楽に…なった」


「良かった…」


「花持ってきて…くれたのか」


「うん…」


「ありがとう…」


俺は気になっていたあの後どうなったか魔王に聞いた。


「うん…」


魔王は少し言いづらそうに話始めた。


魔王の話だとこうだ。


俺たちが護衛していた重要人物は別のルートで騎士団護衛ですでに俺たちの国に到着していて俺たちが護衛していた馬車には騎士団団長が乗っていて近衛騎士隊長が裏切ることを予測していたらしい。


俺が近衛騎士隊長に刺されたあと騎士団団長が近衛騎士隊長を殺して俺を馬で国に運んでくれたらしい。


魔王と馬車を動かしていた老人はあとから国に帰ってきたらしい。


【トントン】


「はい…」


【ガチャ】


「意識が戻ってなによりだ、この度は本当にすまなかった」


「ありがとうございます…」


この若い男が騎士団団長か。


「近衛騎士隊長は勇者殿に仕事を奪われ面白くなかったのだ」


「仕事?…」


「姫様の護衛だ」


「あぁ…」


「今この国で1番強いのは勇者殿だからな」


「そうなのか?…」


「ドラゴンを従者に従えレア賞金首を討ち取ったり大活躍だからな」


ドラゴンの女が聞いたら怒りそうだ。


「元気そうでなによりだ」


「ありがとう…」


「ところで勇者殿のところには凄腕の薬売りの魔法使いがいると聞いたが今回もか?」


「あぁそうだ…」


「では今度寄らせてもらおう」


「誰か病気か?」


「妻が身体が弱くてな」


「そうか…」


「ではまた」


そして事件の幕は閉じたのだった。


山で襲ってきた連中は近衛騎士隊長に金で雇われた傭兵らしい。

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