第57話 最後の旅立ち
数日後……俺は少し焦りを感じ始めた。それは…
不思議なことに、何も聞こえなくなった。涼さん、るいさんの声。どの時間帯も話しかけても、涼さんも、るいさんも返事がない。
【はると、大丈夫ッスか?何か悩み事っすか?】
【うん、レイジ、ここは未来の研究所もしてるよな?未来の地球ってどんな感じになるんだろう?】
【解らないっす。100年先はないって言われてたり、とんでもなく先まで地球が存続と言われていたり、これは誰にも解らないっす。そんな文学的なことで悩んでいたっすか?】
文学的?使い方間違えてないか?レイジらしいな。
でも、そうだよな。現在の環境とか考えると、綱渡りって思うよ。それにしても涼さん、何で通話出来なくなったんだろう?
【はるとくん、来ちゃった!!】
【ユキ、何でここに…】
【うん。あのね、胸騒ぎがして…私の予感だと、すぐここに来なければ後悔するって、なんでだろ?】
【喫茶店のランチ混んでるんじゃない?】
【大丈夫。強力な助っ人いるからね】
誰だ?助っ人って?
【みさきさん、もう来てくれてるの!もう最強コンビだよ。みさきさんに、あいりさん。みさきさん、はると出掛けてるって言ったら残念そうにしてた。はると、嬉しいでしょ?素敵なお姉さんにあんなに慕われて。いいなー、私もカッコいいお兄ちゃんほしかったなー】
ユキ、何言ってんだか…
レイジの様子が、誰と話してるんだ?
【俺、ちょっと用事が、すみません。早退っす】
さきさん、レイジを追いかけて、
【こらー、レイジ!!遅刻して早退って!!!待て〜】
あーあ、さきさんまで、増員されてるからみんな、フリーダムになってるね。
向こうから、みさが、久しぶりに会ったな。
【はると、久しぶりだね】
【みさ、元気だった?】
【うん。ユキさんも来てたんだね】
【みさちゃん、久しぶり。サボってここに来ちゃった。りなちゃんは?】
みさの反応が、
【うーん、りなはね…新しく出来た彼氏に会いに有給休暇を取ってる。レイジさんいないよね?あまりここで話すのは…何か自然消滅らしくて…】
【大丈夫、レイジから聞いてるよ。あいつは立ち止まるタイプではないから】
【あ、そうなんだ。この前飲みに行った時…何でもない…ごめん】
【いいって、そんなに気を使わないで。みさの人生何だからさ。レイジと付き合うのも悪くないよ】
【レイジさんに友達を紹介して、そうしたら意気投合しちゃって、これ、りなには言わないで】
あいつ、さっきの電話それか!
【みさ、レイジの軽さって、問題だね。乗り換え早すぎる】
みさは笑って、
【飲み行った時に口説かれたもん。もちろん断ったけど、イケメンだから勿体ないかなとも思ったんだ】
レイジ、その性格羨ましいぞ。
【ところで、所長いる?ちょっと聞きたいことが】
【いるよ。呼んでくる。私はこれからクライアントと外出るからゆっくりしていって】
相変わらず仕事熱心だね、みさ。
…………………数分後…………………
【はるとくん、お待たせ。おっ、ユキもいるね】
【はい、お久しぶりです。所長もお元気そうで】
【復帰したよ、引退には早かったね。で、私に用事って、ユキかな?はるとくんかな?】
【所長、俺です。涼さんと会話で出来なくなって】
所長が、困ったような、表情を曇らせて、
【やはり、何かあるんだな、未来は。何も無いことは考えにくいが…こちらも出来る限りで調べているが未確定で発表するわけにはいかないし…】
【涼さん、るいさん、無事なんですか?解らないかも知れませんが、何としても詳細を】
ユキさんも、
【所長、私も気になります。はるとくんが急に会話出来なくなって】
もう一度試して見よう。
【るいさん!!涼さん、返事してよ!】
🫧………………………………………………🫧
やはり何も聞こえない。壊れてるのか?
【はるとくん、るい達…】
【解ってる。こうなったら…】
【開かずの間!!】
【開かずの扉!!】
開かずの間?扉?…どっちでもいいや。とにかく、行ってみよう。
所長は、慌てて、
【待て待て待て待て待て!!不確定だ。それにユキはダメージ大きすぎるぞ。それは駄目だ!涼くんのことでも何度も行き来しただろう】
ユキさんのダメージ…そんなに深刻なんだ。
ユキさんは、泣きながら、
【るいはね、ずっと親友でいつもいるのが当たり前になってたの…会話できていたから不安も少しだけ和らいだけど、今は、今は…😭それに、涼さんも】
【静かに!!何か聞こえる】
🫧……はると…ここには…きちゃ駄目だ……🫧
【涼さん、何があったんですか?涼さん!!るいさんは!!】
やはり何かあったな。
【涼さん、るいは?】
返事がない…というよりも、繋がってる感じがしない。
時間がないんだ。もう…
【所長、俺が行きます。涼さんからもらったこれを頼りに】
【はるとくん…ならば私も行こう。ただ覚悟してくれ。それに明確に誤差なく着ける保証はない】
【解っています。未来とか考える余裕はありません。涼さんが現れた、そして、あの時空の狭間に今度は俺が行きます。少し過去に戻り、涼さんの軌跡をたどってみます】
ユキさんは、しがみつき、
【はると、私も行く!!はると達だけに危険な…】
俺は遮って、
【ユキ、必ず戻るから。待っていてくれ。喫茶店頼むね。今度オムライス作って】
【はると…嫌だ!嫌だ!そばにいる。最後は、はるとと迎えたい。はるとがいないなんて耐えられない!】
【信じてよ、戻るから。それに俺は耐久性あるから。ユキ、戻ったら…】
ユキは泣きながら😭
【戻ったら?…何でも言ってよ…】
【戻ったら、膝枕でゆっくり昼寝させて。暖かくなったら、テラスで。約束してくれる?】
ユキは、泣きながら微笑んで、しがみついて、
【うん!!はるとの言うこと何でも聞く】
ユキ、本当はね、不安なんだ。るいさんのこと、涼さんのこと助けたいって気持ちと、もう戻れないかもって、気持ちが交差して…
ユキ、会えてこの時代に生まれてきて、これ奇跡だよ。始めて会った時から優しくて素敵な…
ユキと素晴らしい未来を守るために、この謎も解明してくるよ。もちろんるいさんと涼さんも救う。
さよならは、言わない。きっと戻るから…
……………………………………………………………
ご愛読、本当にありがとうございました。
君がいてくれたから(第三章) ラグランジュ @space-time
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