最終話 完璧なアイドル。


  

「みんな〜〜っ! 今まで応援してくれてありがとう〜〜!! 次の曲でホントのホントに最後になりま〜す! それじゃ、いくよ〜〜!! 【エターナル・ラブ】!!」


 ――【ラブ・ブルー】、東京ドームでのラストライブ。


 熱狂の渦のなかで、二人はアイドルとして最高の輝きを放っている。


 俺は一人、舞台裏で涙を流しながらその様子を見つめていた。


 デビューライブからラストライブまで、輝きを失うことなく駆け抜けた二人。


 たくさんの困難と、たくさんの喜び。俺の胸の中にさまざまな想い出が駆け巡る。


 このラストライブを終えたあと、二人はアイドルファンの中で永遠に語り継がれるだろう。それほどまでに、【ラブ・ブルー】はたくさんの伝説を残してきた。


 その一端を担えたことが誇らしくもあり、同時にこれで終わりだと思うと寂しくもある。


 慌ただしくも輝いていた日々。間違いなく人生で一番の思い出になることだろう。


 いや……。一番はもう一つある。


 それは――。





 ◇◇◇





 数年後……。


「碧さん、また寝癖がついてますよ」


「え、ホント?」


「直してあげますから、こっちへ来てください」


 俺は、アイドルを卒業した夕凪さんと結婚した。

 

 ラストライブから一か月後の電撃入籍だったが、なぜかファンのみんなは俺たちの結婚を祝福してくれた。


 彼女は普段からそれとなく俺の存在をアピールしていて、ファンのみんなもそれを知っていたからだ。


 ――彼女の用意周到さはすごいな、うん。


 俺はいまもプロデューサーを続けている。かつて小さな事務所だったエターナルプロダクションは、いまや業界で知らぬもののいない大事務所へと成長していた。


 南條さんも、まだアイドルを続けている。【ラブ・ブルー】は解散したけれど、彼女は一人でも超一流のアイドルなのだ。

 

 ――毎日、めちゃくちゃ忙しいし、大変なことだらけだけど、俺の毎日は、今までの人生のどのタイミングよりも輝いていると確信を持っていえる。


 なぜなら――。


 俺の完璧なが、毎日家に迎えにくるどころか、家で出迎えてくれるからね!



 ――fin――



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺の担当アイドル、ダンスも歌も完璧だけど愛が重すぎる!?〜毎日家に迎えにくるし、予定も全部知られている件〜 モツゴロウ @motugorou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ