第3話
今があるのは、君のおかげだと言いたかった。それなのに、君は見透かしているかのように呟く。「この世の人はね、支え合いなんて出来ないの。結局独りよがり。苦しみを与えるだけ。そう思ってたの」君は泣きそうな顔で言う。そして、振り向く。夕日に照らされる君の顔は、上手く見れなかった。「でもね」君がつぶやく。「君は違った。君もそうなんじゃない?」それは、夕日の光を、より一層、切なく感じさせた。
支えるとはなんだろう。咲夜、酒を飲みながら読んだあの本に、「支え合いなんてできない」と書いていた。2人はお互いをどう思っているのだろうか。特別な何かがあるから、支え合えたのだろうか…ならば、俺に支え合える人間はいないのだろうか、不思議な切なさと、悔しさ、責任のない事への嬉しさが交互にやってきた。おはようも言わなくなった俺に、支えてくれる人間などいないし、支えようと思える人間もいないのだろう。後輩も、おはようも言わなくなった。それは、ある意味楽になった。今日もまた、つまらない一日が始まる。それは、妙な安心感と、孤独感を感じさせた。
世界はエンターテイメント ルピナ-Lupina- @Lupina
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