アレ

しき

第1話

深夜、就寝の直前に私はアレがそろそろ切れそうな事に気づいた。アレはまだ少し残って

おり、別に今直いますぐに必要な物でも無い。


しかし、アレが無いと不安だ。心が落ちつかない。


外は台風の影響で大雨、暴風警報が出るほど荒れており、危険な状態だ。どう考えても台風が過ぎ去った後に買いに行くのが得策だ。そう、自分に言い聞かせて布団の中で目を閉じる。


しかし、眠れない。頭の中でアレの事ばかりを考えている。


アレは必需品では無い。何ならアレを切らしてしまってもそれほど困らない。最近は使って無いし、何なら今まで存在すら忘れていた。


しかし、切れそうとなると無性に気になってくる。気持ちが悪い。むずむずする。


アレは珍しい物でもない。高価な物でもない。どこでも簡単に買える。急ぐ必要性が無いならネットで購入して届けてもらう事もできる。アレだけの為に外に出るなんて馬鹿馬鹿しい。何かのついでに買うぐらいが調度良い物だ。


しかし、アレが今直いますぐに欲しいと感じてしまう。急ぐ必要性もないのにも関わらず。


アレが、アレが、アレが、アレが、アレが

アレが、アレが、アレが、アレが、アレが

アレが、アレが、アレが、アレが、アレが

アレが、アレが、アレが、アレが、アレが

アレが、アレが、アレが、アレが、アレが

アレが、アレが、アレが、アレが、アレが

アレが、アレが、アレが、アレが、アレが

アレが、アレが、アレが、アレが、アレが



気がつくと私はアレを求めて家を飛び出して近くのコンビニに向かっていた。アレが欲しいというよりもこの謎の不安感を今直いますぐにでも解消させて安心を得たかった。

そしてアレを買った私は謎の満足感に満たされていた。これでぐっすり眠れると。


キュルルル ドガン!!


私は家に辿り着くこと無く、強い雨風の中でスリップしたトラックに跳ねられて呆気なく死んでしまった。

何でアレ何かの為にこんな台風の中、私は外に出たのだろうか?死の直前に私は自分の行いを後悔した。

なのに何故か地縛霊になってしまった今でも私はアレを欲している。もう本当に必用無いのにどうして?

アレを持ってこの道を通る人を呪わずにはいられないのだ。

〇〇町の〇〇通りは気をつけてね。もしアレを持っていると私…

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アレ しき @7TUYA

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