第63話 昇爵と驚く褒賞

 シータの話で、笑顔になった公爵様は、トンでも無い事を言い出した。

「ジェミーは席を外せ!お前の配置替えは白紙だ!このお嬢さんに感謝せよ!」


 子爵が退室した。

 ハンエイ子爵の名はジェミーと言うのか、初めて知った。


「………と言う事ではどうだ?」

 また悪い癖が出た!余計な事に気を取られ、話を聞いて無いぞ!

「リーダーとは言え、私の一存では帰ってクランメンバーと相談してごへんじ致します」

「超人化のノウハウはモノ男爵が確立させたのでは?」

(超人化だと?何の事だ?)

「私とメイで確立させました」

「モノさん、悪い話ではないと思います、ただ公爵様が超人に成られたら疑問に思う、例えばウエルズ公爵様にも大王様にも絶体秘密にして下されば、公爵様を超人にして差し上げるのは可能でしょ?」

(おぅ!メイ、ナイスフォロー!)

「クランメンバーにも他言無用で、昨日教えたくらいで、副作用など今の所有りませんが、初老の方に試みた事が御座いません、相当きつい修行になるのはご覚悟下さい」

「良いのだな!言質は取ったぞ!今更駄目と言われたら、怒りで何をするか分からんぞ!」


「駄目とは言いませんが、修行は1日で強行します、始めると私の指示には絶体服従を願います、公爵特権を出されて無茶な事を言われた時点で中止します、中止後似た修行をされてもまず効果は有りません!!考えてもみて下さい!簡単な事ならもっと超人が溢れているはず!」


「分かっておる、修行を始めるとモノ男爵が師匠、指示には服従する!よし!氾濫防止に大量の賎貨の褒賞!

 モノ男爵を子爵に昇爵、メイ准男爵を男爵に昇爵、ジライ騎士爵を准男爵に昇爵

 シータとガムトにバルス、騎士爵を授与する!」

 執事が用意したのか、貴族章を全員に渡してくれた。

 超人化訓練が余程嬉しかったのか、無茶苦茶な大盤振る舞い、良いのだろうか?

 シータ達はポカンと呆けている、それは当然だろう、一昨日まで貧乏孤児だったのが、貴族に抜擢されたのだから。


「では明日の早朝迎えに伺います」

「もう少し話がしたいが…」


 引き留めようとする公爵様を後に、俺達はホームに帰った。

「公爵様の超人化が成功すれば、モノさんは領地持ちの子爵様だね!」

 落ち着いてメイの第一声に「??」の俺だった。


「ん?何の事だ?」

「超人化の成功報酬、の話よ!やはり公爵様の話何も聞いてなかったようね!」

「済まん!あの時子爵の名前ジェミーって初めて知ってそっちに注意が行ってた」

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