第47話 燃料ダンジョン【1】

「奴隷の首輪を外されて宜しいのですか、シーフの私逃げるとは思われないのですか?」

「イノマクランの俺は特級冒険者で男爵、メイも特級冒険者で准男爵だ。

 イノマクランの仲間になるのは奴隷としてこれ以上は望めんぞ?逃げるのは自由だが」


「私は凄いお方に購入されたのですね!精一杯お役に立つよう努力致します」

「無理をさせるつもりはない、出来ない事は出来るように努力すれば良い、手始めにこのダンジョンの罠を調べてくれ」

かしこまりました、モノ様!」

「普通で良いぞ、返事は「はい」で良い」

「はいモノ様」

「ジライは俺達が完璧に守る、安心して着いて来い」

「はい」


 俺、ジライ、メイの順にダンジョンに入った。


「確実では有りませんが、罠は見当たりません」

「1階層はスライムか、ジライよく見ておけ、スライムはこの格を破壊すれば倒せる、このナイフを持って」

「はい」

 俺はジライの後から手を貸して、スライムの格を破壊した。

 スライムは魔石を落とさず薪の束を残し消滅した。

「薪か、シバレル連邦のダンジョンらしいアイテムだな、そうだ!忘れてたジライ、これをやる」

 俺は収納の腕輪をジライに装備させた。

「これは収納の腕輪だ、その薪を収納してみろ」

 少し勝手が分からないようで、もたついたが無事収納できた。

「モノ様!これは凄い魔道具ですね!私には勿体無いです!」

「俺達の仲間は全員持ってる、気にせず使え」


 10匹ほど手を取って、ジライに倒させたが一人でスライムを倒せるようになった。

 ジライはスライムが何処に居るか分かるようで、一人で倒せるようになると次々倒して行き、薪も収納して1階層のスライムは居なくなった。


 2階層に降りた。

「この階もスライムか」

 少し動きが速い茶色のスライムが、ウヨウヨしている。

 ジライはシーフだけあって動きは素早い、この階のスライムも問題なく倒せた。

「この壷は何だ?」

 壷の蓋を開け、調べると照明ランプの油だった。

「これも燃やせば少しは暖かい、燃料ダンジョンできまりか?」


 魔物を大量に倒すと強くなる、自分の経験からジライ一人にスライム討伐を任せた。

 2階層の茶色スライムも全て討伐が終ったようだ。

「ジライ疲れただろう、休憩昼飯にする」


 幸福亭の部屋にあった厨房で、メイが飯を炊き塩握りを作ってくれてる、大皿に盛った塩握りをメイが出してくれた。

 俺とメイが手掴みで握り飯を食うのを見て、ジライもオズオズ握り飯をうばっている。

「初めての食べ物、美味しいです」

「米を炊いて、握った物だ、塩握りと言う」

「シオニギリですか?美味しいです、パンと違い水無しで食べられますね」


「晩飯はカレェゾを喰わせてやる、物凄く旨いぞ!楽しみにして置け」

「はい!カレェゾはこれより美味しいのですか!楽しみです!モノ様に買われて幸運でした!」



 3階層は黒いスライムがウヨウヨいた。

「誰も入った事が無いダンジョンみたいだな、魔物が多いジライ無理なら言ってくれ」

「モノ様、大丈夫です」

 黒いスライムは更に動きが速くなったが、ジライも最初と比べ少し強くなったようだ。

 問題なく黒いスライムを倒せた。

 黒い石の様な物を残し、黒いスライムが消えた。

「あぁこれが石炭と言う物か、これも燃える」


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