第43話 公都で昇爵
メイとなら気楽に走れる、俺とメイは昇爵を受けるため、公都に向かい街道を走っていた。
もっとも、昇爵されるか正式な通知はもらって無いので分からん、休暇なのでメイと旅の気分で走ってるだけだ。
「この辺りは旧オーボウ子爵領、イリス辺境侯爵領に変わったが誰が領主になっても、領民の気質はそうそう変わるものでは無い、もう少し走って野営する」
「それが良いね」
本当は宿屋に泊まり、同室に宿泊男女の仲になりたいのだが、ヘタレな俺は言い出せない。
そんな感じで僅か7日で公都に到着してしまった。
ギルドに顔を出すと、レミーさんにギルマス室に連れて行かれた。
「おうっ!予想以上に早い到着だったな!即宮殿に向かってくれ」
公爵様はいつでも謁見してくれるそうで、俺とメイは公爵様の宮殿に向かった。
急展開で謁見の間に通され、ウエルズ公爵様からのお言葉。
「今回のオーク大繁殖を未然に防ぎ、元凶のオークキングの討伐天晴れで有った!功績を讃えモノ准男爵を男爵に昇爵、メイ騎士爵を准男爵に昇爵する!今後の活躍を期待して居るぞ!」
「慎んでお受けします!!」
オークキングとキングソードを献上して、謁見は終ると思われたが、イノマリーダーが謁見の間に入って来た。
「イノマは何をしに来た?」
俺の呟きに隣のメイが返事をする前に、イノマに公爵様が声を掛けた。
「イノマ▪コウシン准男爵?そなたも報告が有るとか、のべてみよ!」
「はっ!報告の前にアクジン執務官殿は居られますか?」
大臣や高官が居並ぶ末席に貧相な中年親父が声をあげていた。
「私がアクジン執務官で有る」
「公爵様!御前を汚す事、お赦ゆるし下さい!ピーター拘束!!」
ピーターの動きは、誰にも見えて居ない、魔道具手錠が瞬間掛けられている。
「何をいたす!」
「お前の悪事を公爵様に告白せよ!」
アクジン執務官は、何故か自分の犯した違法人身売買の全てを、ペラペラ
アクジン執務官の悪事をだけで無く、アクラツ大臣が人身売買組織の大元締めだった。
一部の騎士にも犯罪組織の手の者がいる事まで判明した。
「何をどうすれば、こんなに簡単に全てが判明する?」
俺の疑問など置き去りに、公爵様がお誉めの言葉を掛けた。
「な、何と!イノマクランは休暇中と聞いた、モノ男爵だけで無くイノマクラン統率者自ら大手柄を挙げておったか!
これで噂でしか存在を知らない、違法人身売買の大組織を壊滅出来るぞ……この功績はイノマ准男爵を男爵に昇爵しただけでは済まぬ、子爵に昇爵しお供の3人を准男爵に叙す!!」
受賞が終わり、公爵様を交え控えの間で笑談中。
「モノ?休暇は始まったばかり、10日も経って無いのに流石クランNo.2!!」
「イノマも香辛料ダンジョンで遊んで居るはずが、物凄いですな!」
「おぬし達は、打ち合わせした訳で無く、偶然かち合わせしたようで有るな、この後の予定は?」
「公爵様、東ウエルズ市のダクミ奴隷商から違法奴隷を救出に向かいます」
「いや、それには及ばん、既に兵が向かっておる」
「では、休日を引き続き楽しみます」
「そうか引き止めるのも無粋か、滅多に無い休日有意義に過ごしてくれ」
言われ無くても俺は目的が有る、聖教市の宿屋に行くのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます