第37話 ダンジョンマスターベルタ

「言われると魔道具のようだ!」

「魔道具って?ダンジョンから出るの?」

「魔道具職人は居るが、作れるのは照明程度で修理専門だと聞くぞ、魔道具が売られているの見たことが無い貴重な物だ」


「何でこんなダンジョンが有る?」

「ごく最近発生したダンジョンだろう」

「どうする?調査目的だから、依頼は達成したよ」

「イノマ?このまま帰る気か?」


「このまま帰るの勿体無い!私達で対処不能の魔物、ドラゴンとか出てくるまで探索する!」

「そう来なくっちゃ!このまま帰っても俺達は特級には成れるが、ダンジョンの詳細報告したなら、6人全員特級になれる。上手く行けば騎士達も上級冒険者になれるかも」

 会話中も騎士達順調に15頭のグラスウルフを倒し、下りの階段を見付けて報告にきた。


 もう考えるのを止め2階層に降りた。


 大小の岩が転がる荒れ地が広がっている。

「予想出来る、ストーンゴーレム」

 コノハの予想通り、ストーンゴーレムが現れた。

「1体なのが有り難い」


 俺達とメイの4人で金棒を打ち付け、ストーンゴーレムを粉砕した。

 また訳の分からん魔道具を落として、粉々のストーンゴーレムが消えた。


「シノブにコノハ、罠は無さそう?」

「罠ダンジョンじゃ無い」

「魔物特化ダンジョン」


「じゃあ、後からアイテム回収しながら着いて来て」

「「分かった」」


 まばらに出てくるストーンゴーレムを10体倒し階段を見付けた。

 魔道具なんて形を見ただけでは、用途が不明だ、考えるだけ無駄なので、シノブ達が回収したのを確認し3階層に降りた。


「無理かも……」

「オロ!弱気になるな、特級冒険者ならこの程度…」

 オロとモノが、しり込みするのも無理はない、空にはワイバーンが飛び広がる森林はクレイジーベアが闊歩かっぽしてる。


「シノブとコノハは矢撃器を準備!騎士の中に弓が使える人居ますか?」

「自分は弓が得意で有ります!」

「え~と…ナッスさん?」

「はい!ナッスで有ります」

 収納から弓と矢筒を取り出して、ナッスに装備させた。

「メイも矢撃器に装備変更!ワイバーンが襲って来たら矢を射掛けて!」


「モノとオロ、私が超剣でクレイジーベアを討伐する!

 全員気張って!行くよ!!」

 気合を入れた私の大声に反応して、クレイジーベアがやって来そうで、全員強張った顔でうなづいた。




「襲って来ないね?」

 気合を入れたのに、肩透かしクレイジーベアは居るが、襲って来ないワイバーンも上空を旋回するだけで襲って来ない。


 緊張しただけで、何事も無く4階層に降りた。



「これは……流石に対応不可能…」

 森よりデカイ二つ首に三首のヒュドラが、10頭一斉にこちらを見た。

「調査は充分過ぎるくらい出来た!撤収する!!」


「イノマ?宝箱が出てきた」

「罠なし宝箱…羊皮紙?」

 シノブが羊皮紙を私に手渡した。

「何か書いてる『ヒュドラは襲わない、真っ直ぐ進み会いに来て!ダンジョンマスターベルタ』って?ダンジョンが私に会いたいって?」

 ダンジョンが、肯定するように震えた。




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