第36話 魔道具ダンジョン?

 100㎞と聞くと近く感じたが、休んでは走りの繰り返し結局2日かかった。

 俺達にイノマとメイの4人なら、1日で楽に走れる距離だが、騎士達はこのゆっくり走行でも疲労で動けなくなる有り様だった。


 ナマカゼ町の北にそびえる山脈、その中腹にダンジョンが有る。

 ゴン子にはいつものようにフードを被らせ、見た目背の低い少女に見えるようにしてる。

「この町は旧帝国領、町民との交流はやめたほうが良い、気質に価値観が俺達と違い過ぎる」

「田舎町は排他的だからな」

 町民は俺達を見ても、話し掛けて来る者が居ない。

 何かひそひそばなしして俺達を見てるだけ、感じが悪い。


「この町の冒険者ギルドは無くなった勝手にダンジョンに向かう」

「山脈の向こう側は、シバレル連邦だそうだ」

「シバレル連邦って、大陸の北側全ての広大な国土、どんな国なんでしょ?」

「年中寒い国だそうだ、行きたいとは思わん」

「ストーブの燃料と強い酒は国が無料支給するとか、良い国のようだぞ」


 話ながら歩いていると、気付けば山裾に着いていた。


「何か腐ったような臭いがしないか?」

「うん!この臭い何だろ?」

 中腹にあるダンジョン目指し登山していて、異臭に気付いた。


「ナマカゼ町って、生臭い風の町ってこと?」

「ナマカゼ町、変な名前だと思ったが案外そんな所からついた名かも知れんな」

「ダンジョン発見報告者以外の冒険者は全滅したって聞いたけど、この臭い有毒ガスじゃない?」

「あれ?オロのタグ真っ黒だよ!」

「ん?イノマのタグも真っ黒だぞ!」

 確認すると、騎士達の銅のタグは変わって無いが、俺達6人の銀のタグが真っ黒になっていた。


「銀は毒物に反応する、銀の食器は毒物発見の為に使われてる」

「危険!引き返そう!」

「体調に異常を感じた者は居るか?」

「臭いだけで異常は感じん」


「イノマ?あそこに見えるの、ダンジョン入り口じゃない?」

「あぁ、そうみたい、取り合えず誰も異常ないなら、あそこに行ってみるよ!」


 シノブの言った通りダンジョン入り口のようだ。

「見付け易いダンジョンだね、くさにおいを嗅いで鼻が変になりそう!ここよりダンジョンの中の方がましと思う」


 注意しながらダンジョンに入った。

 モノとオロそれにアサシンのコノハが前衛、私とメイが続きシノブと騎士達が後衛で進む。


 コノハは緊張しているようだが、罠の確認は任せられる位にアサシン技術が優れてきた。


 ダンジョン内は見通しの良い草原だ。

 グラスウルフ3頭が襲ってきた。

 モノとオロ、私が前に出て3人がそれぞれグラスウルフを倒した。

「アイテムだよね?何これ?」

 グラスウルフが消えた後、魔石は落とさず変な物が3個落ちていた。

「グラスウルフなら、シノブパーティーに戦闘任せる!」


 モノとオロが回収したアイテムと、私が回収したアイテム3個とも違った物で、どれも何やら分からない物だった。

「何か外れダンジョンっぽいな、遣る気が無くなる」


 安心して任せていたシノブが、回収したアイテムを持ってきた。

 俺達が話ている間に、10頭のグラスウルフを倒したようで、アイテムは10個だった。


「シノブはこの訳の分からん物、何だと思う?」

「たぶん、魔道具」


「王公大貴族位しか持って居ない魔道具だと!!」

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