第34話 街道筋のゴブリン報告

 ゴブリンが人語を話した!!

 私達の事よりゴン子にショックを受けたようで、まだブツブツ言ってる。

「ギンタギルマス!ゴブリンに付いて重要報告が有ります」

「んん?重要報告?ゴブリンがどうした!」

 おっ!正気に戻ったか?

「ハンエイ町から、街道を上り元オーボウ子爵領辺りで、ゴン子を人に化けさせ囮にし、ゴブリン30匹程が森に潜み襲う素振りをみせました!囮を使い人を襲う知恵を付けたゴブリンの集落が予想されます!!雪解け後、あの辺りのゴブリン討伐の徹底を進言します」

「囮……だったのか?ゴン子が、貴重な報告、感謝する!街道筋の全ギルドに通達し、雪解け後ゴブリンの集落調査し殲滅を試みる!

 何故突然ゴブリンが知恵を付けた?ゴン子に付いて他に情報は無いか?」


 ゴン子から聞き出した情報を、追加報告しておいた。

「森の奥の山裾やますそにゴブリンの神が居て、ゴン子はしもべだったそうです。

 私の推測ですが、ツミヒダンジョンの近辺にツミヒ妖精の使役ゴブリンが居るとの噂が有ります!ゴブリンの神はダンジョン妖精が使役しているゴブリンと思われます」


「ダンジョン妖精がからんで居る可能性が有ると?…難儀な…」

 ギルマスが、また黙り混んだ。



 ゴブリンに付いては、話が唐突に打ち切られた。

「ナマカゼダンジョン調査の報酬は金貨50枚と、最低全員のギルドランクを1階位昇格、成果により昇格幅を上げる」

 復活したギルマスが、気前の良い報酬を言ってる。

 上級冒険者への依頼は、報酬も良い。


 ギルドに隣接した高級宿に、ゴブリン情報の報酬とかでギルド接待で宿泊することになった。


 宿泊料金は一泊一人金貨1枚だそうだ…13枚の金貨、じゃ無いゴン子も金貨1枚だから14枚だよ勿体無い!

 3日宿泊するだけで、今回の報酬金貨50枚が殆ど消える、自腹では絶対泊まらないよ。


 豪華な装飾、と言ってもハンエイ町のイノマ准男爵邸より劣る、大浴場は准男爵邸のお風呂より小さい、食事も食材は贅を尽くした感じだが肝心の味は准男爵邸のシェフどころか、ハンエイギルド飯より劣る、随分な辛口評価だが1泊金貨1枚だからね、それにみあった内容を期待して当然だよね。


 従業員は貴族相手を意識し教育を受けて居るようで、変に格式張って慇懃いんぎん過ぎてバカにされてる気さえする、気持ちよく宿泊するなんてとても出来なかった。


 ただ一つ良かったのは、ゴン子を入浴させても良いとの事で、私と一緒に入浴出来た事、ゴン子は初めての入浴に戸惑っては居たが直ぐに慣れて教えれば洗いっこも出来て、気持ち良さそうに湯船に浸かってた。


 でも二度と泊まらないよ。



 翌日旅支度、と言っても食料の補充だけ。

 冬と言う事も有るが、公都の物価は驚くほど高い。

 お米10㎏ハンエイ町では銅貨1枚だったのに、銅貨5枚だよ!必要だから購入したけど、100㎏買うと銀貨5枚もするの!値引きしてくれないし、公都での買い物は控えた方が良さそうだ。


 いつまで経ってもケチ臭いイノマだった。

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