第30話 公爵様の謝罪

 イノマが飛び出して、皆で追い掛けて来た、朝食も食べず。

 ハンエイギルド飯、今堪能してる、次はいつ食べれるか分からない、ボアステーキに串焼き肉、ミルクスープ、勿論バスケットに山盛りのパンも完食し満腹!ソリを担いで東門に向かった。


 東門に公爵様が待っていた。

「ハンエイ公爵様何かご用ですか?」

 馬車で東門にわざわざ来られて、どうやら俺達を待っていた様子の公爵様に、イノマが不思議そうにたずねている。


「バンチャ執事は懲戒解雇した!イノマ准男爵に不愉快な思いをさせて、申し訳無い!執事はセーバに変えたので、これに懲りずあの館を使って欲しい」

「えっ?公爵様?わざわざそれを言われる為に、寒い東門で私達を待っていて下さったの?」

「優秀なイノマクランの為なら、寒いなんて言っておれん!息子の一件と同じで再び嫌な思いをさせて、モノとオロ殿にも済まん事をした!行く行くは、息子の領地代えをして、このハンエイ町をオロ殿の領地と考えて居る!

 引き留めて済まん!公都に向かうので有ろう!気を付けて行ってくれ!」


 公爵様に見送られ、俺達は街道を公都に向けて急いだ。

「おい!モノ!聞いたか?ハンエイ町を俺の領地に考えてると!」

「ああ、冒険者を引退する頃の先の話だろう、国家直轄冒険者の仕事で生き残れたらの話だろと思うぞ」

「それにしても、イノマがコウシン町の領主だろ?俺がハンエイ町の領主!モノはどうなる?」

「俺は多分ハッサ町の領主だろう、ずっと先の話で皮算用は早過ぎるぞ!今は高難易度ダンジョンの調査だ!」


「しかしな、息子の方が可愛いだろうに、豊かなハンエイ町から領地代えとは、公爵様は俺達を余程高く買ってくれてるって事だろう?」

「分からん!俺達が役立つ存在とは思っているだろうがな、高位の貴族の考えなど分かるはずが無い!愛想を尽かされんよう頑張るしか無いが……いざと成れば…ま、そこまで考える必要は無いか」

「いざと成れば?どうする?」


「いや、頑張って愛想を尽かされん事だ」


 モノとオロが話して居る様に、イノマ達も賑やかに話して居た。

「あの執事は酷過ぎだよね!」

「完全に私達を見下してた!」

「オロとモノを八つ当たりで解雇した、子爵に長く仕えた執事はあんなに鼻持ちならん奴になるんだね!」

「公爵様は息子の子爵見限ったのかな?領地代えさせるとか言ってたね!」


「皆!執事が代わっただけで、あそこが住み良くなると思う?まともな使用人厨房のシェフさんだけだったと思うけど」

「ギルド酒場の大将の師匠、あのご飯ならまた食べたいけど」


「正直な話、公爵様は何を考え、私達に何をさせる気かしら?」

「イノマ?どう言う事?」

「王弟の公爵様が、何のメリットも無く、ここまでやってくれると思う?しかも、頭を下げて謝罪までしてくれた!気味が悪く無い?」

「そう言われると、王族の大貴族が言っては何だけど、イノマみたいな小娘に頭を下げて謝罪は普通考えられないね」

「でしょ!」

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