第25話 国家直轄冒険者

「ギルドマスター殿!今回訪問したのは、イノマ達冒険者が異常に優秀で国の直轄冒険者指定の許可を貰いたく訪問した、勿論冒険者ギルドが依頼を出すのは自由だが、国家依頼を優先にさせて貰いたい!」

「突然のご提案、検討するにも先ずは彼方あちらの席にお座り下さい」


 公爵様が着席された。

 俺達が公爵様と同席する訳に行かず、俺達にも寝耳に水の話を、ソファーの後ろに整列して聞いて居る。


 言い難そうだが、ギルマスが意を決して話し出した。

「公爵様もご存じの様に、冒険者は冒険者ギルドを優先する規程が御座います、国からの依頼もギルドが受付、国に代わって冒険者に依頼いたします!国から直に冒険者に依頼されては、独立した組織としての規約に反します」


「その事で有るが、ギルドマスター殿もお気付きの貴族章!イノマ准男爵、モノ准男爵、オロ准男爵それにメイ騎士爵、シノブ騎士爵、コノハ騎士爵と6人全員貴族で有る!貴族は国の為に働く義務がある!冒険者を引退させ、国家直轄実動部隊としたい所では有るが、非常識に優秀な冒険者を引退させるのはギルドだけで無く、国家の損失になる!

 考えた末の妥協案、ギルドマスター殿には是非検討して貰いたい!!」


 ギルマス!役者が一枚も二枚も上だ、太刀打ち出来るはずが無い、検討の余地が無いのは明確に理解してるだろ。


「公爵様、イノマクランの本拠地は何処にお考えです?」

「コウシン町を考えて居るが、隣のハッサ町も合わせて見てもらい、将来的には統治して貰う予定だ。

 勿論功績を積み男爵位以上に昇爵してからでは有るが」


(ん?統治だと?サラリと、とんでも無い事を言ってるような?)


「公爵様、分かりました!ではコウシン町に冒険者ギルドの建物を提供して頂けませんか?公都からレミーと言う優秀なギルドマスターを派遣します」


(おう!ギュンタギルマスも言いなりじゃ無く、ちゃっかり要求するとは流石だな!)

「香辛料ダンジョン管理を冒険者ギルドがやってくれるのは有り難い、現騎士宿舎を改装しコウシン町ギルドとして提供する」


 俺達イノマクランは国家直轄冒険者となり、所属ハンエイ町ギルドとコウシン町ギルド、コウシン町元男爵邸を改装し拠点にする、と言う訳の分からない存在に決まった。


「息子に拳骨食らわせに行くが、着いて来るか?」

 俺はプルプル首を振ったが、隣のオロはうなずいて居やがる!

⦅止めて置け!お前が行くと収まりが付かんぞ!子爵様に今後目の敵にされるぞ!!考え無し!⦆

 俺が必死に小声で止めて居るのに、聞こえて居ないようだ。


 公爵様とオロが子爵邸に向かった。


「これでオロは終った!公爵様の覚えが良くても、子爵様はそれなりに力と派閥がある、准男爵風情潰されるぞ」

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