第16話 不遜な常駐騎士達

 東門を出て1㎞行かない所に、北に向かう枝街道がある、これを北上すればボツラ町に行ける。

「オロ!足を路面に付けて踏ん張れ!」

「おぅ!!」

 オロが踏ん張り、俺が路面を蹴るとソリは左折し、北向街道に入った。

 犬は今でも操れそうに無いが、ソリを操るのはかなり馴れた。



 単調な路面蹴り、ついぼ~うっと考え事をしてしまう。

(今年の積雪は異常だ、ハンエイ町が雪で閉ざされた事は今まで無かった)

 俺達のダンジョン調査の如何いかんでは、雪解けを待って冒険者を大量投入して香辛料採取させるつもりらしい。


 岩塩は有れば有るだけ売れる、コショウは高値で取引され、砂糖は貴族が買い漁る、ボツラダンジョンが解放されたなら、冒険者ギルドは大儲けだろうな。

「功績で俺達を、上級に昇級なんて安い対価だ…金貨30枚か、中級冒険者は安く使われるな……ハンエイ子爵がもっと確りした貴族だったなら、騎士爵位を授与される功績だ…そうは上手く行かんだろうな俺達じゃ…」


「馬車で2日の距離なのに、ソリって無茶苦茶速いね、あれがボツラ町でしょ?モノとオロは馬並?いや!2馬力二人で4馬力だね!」

「おぅよ!俺の下半身は馬以上だぞ!!」


⦅モノ様の物も馬並?ぽっ!⦆

 イノマ達は馬以上の脚力と取ったようだが、オロの下品な馬鹿話の意味が分かったのはメイだけだったようだ。




「犬無しの犬ゾリを器用な!豪雪の中ボツラ町に何要か?」

 門番も一応騎士なのか、横柄に言って来た。


「ギルド依頼でダンジョン調査に来た!通るぞ」

「待て!今ハンエイ公爵様が視察中だ!下践げせんな冒険者など視察が済むまで、其処そこいらで野営でもして居れ!」


「おい!!貴族章を着けて居らんお前は、一般騎士で有ろう!こいつはオロ▪ボツラ、私はモノ▪ハッサ名前で分かるな?ハンエイ公爵様は優しいオジさんだった、私は面識がある!どうする?平騎士!!」




「そこの騎士!貴様はいつもそんな態度で門番して居るのか!」

 門の後ろで大声を出して居られるお方、見覚えが有るぞ!


「ハンエイ公爵様!モノ▪ハッサで有ります!!」

「ハッサ男爵家は残念な事であった…ん?冒険者?息子の護衛兵だったはず?」

「公爵様、寒い思いをされてはるばる来られた冒険者殿、暖かい飲み物を用意致します!」

「門番?手の平返しはみっともないぞ!処分は覚悟せよ!

 ハッサ君達!此方で話を聞こう」


 俺の事を知って居たと言うより、陰謀で没落したハッサ男爵で知ってくれていたようだ。

 ツイテル!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る