第15話 犬無しでも犬ゾリは快適
町中は除雪が行き届いているので、つい雪を忘れる、雪道では走れん。
隣町とは言えボツラ町に行くことが出来ん所だった。
冒険者ギルドの備品『犬ゾリ』は、3本の太い棒を板で繋いだ物で、棒の先端が反り上がっていて、横棒で補強されて居る。
本来はこの横棒に、犬5頭の革装備を繋いで牽引させるそうだが、犬が居ないので只の補強だ。
犬と言う聞き慣れない動物は、グラスウルフやワーウルフを使役し変異させたものらしい。
「ん?俺達は犬を見た事有るぞ!犬ゾリにも乗った、なぁオロ」
「おう!俺とモノの苦い想い出だ」
「苦い想い出なら聞かない方が良いか」
(イノマ!…聞いて欲しかったのに、会話をバッサリ止めるか?)
俺達が解雇される原因の犬ゾリ…ま、どうでも良いか衛兵より気楽で自由な冒険者稼業、今の暮らしは悪くない。
囲いの無い、むき出し状態のソリに乗って移動は寒いだろうと、防寒着を買う事になった。
武器屋の隣の防具屋に防寒着や防水加工が施された寝袋が置いていて購入した。
6人分の防寒着に寝袋、店主の言い値は金貨6枚だったが、値引き交渉で金貨3枚まで金額下げて来た。
「俺は元ハンエイ子爵の護衛任務をやって居った元男爵家の者だ!防寒着と寝袋1セット銀貨3枚が相場、金貨2枚なら購入する!」
「へっ?へい!金貨2枚で結構です!良い値踏みの目をお持ちで!またのお越しをお待ちして居りますです!!」
防寒具は銘々が着て、寝袋はイノマがアイテムボックスに収納した。
アイテムボックスは革袋に隠してる。
「モノさんの値引き交渉凄いですね!奴隷商でも店主を圧倒されてた」
そうだった…メイの前で本人の値引き交渉してた…不愉快じゃ無かった?微妙な気持ちだろうな。
「「モノさんって凄い経歴の方だったのですね!!」」
メイにシノブとコノハに尊敬された。
「モノばっか目立って!俺も元男爵家の者だぞ!これから行くボツラ町は俺の男爵家が統治してた町だぞ!没落し無関係になったが……」
「「「ふ~ん?」」」
(モノに対してと、反応が随分違うじゃないか!俺を見る目が生温い)
俺もアイテムボックスが有るので超剣や、打撃用の鋼の金棒(魔鉄のお礼に4本貰った)入れ、アイテム袋をメイに渡し食料を購入し入れさせて居る。
干し肉にレーズンなどの干し果実や根野菜、例の茶麦も大量購入してた。
ハンエイ町には北門が無い、ソリを引っ張って公都方面の街道がある東門に向かう。
「あれ?オロさんとモノさん、東門から出られるとは珍しい」
「ボツラダンジョンの調査だ」
「ボツラ町ですか……騎士の態度で不愉快な思いをされるでしょうが、ご武運を!!」
門番の話では、左遷されたクズ騎士のくせに、ハンエイ子爵の巡回兵を田舎の兵と蔑んだ態度をとるそうだ。
東門を出ると、街道はツルツル滑る凍結した道だった。
全員がソリに乗り、俺がソリの右側オロが左側に位置し、片足で路面を蹴った。
オロと俺は息ピッタリ、ソリは軽快に凍結街道を進む。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます