第9話 迷いの森ダンジョン

「ギュンタ居るか?」

 いつもの事、ノック無しで勝手にギルマス室に入った。

「ん?ゴウケンか、何か有ったか?」

「非常識コンビが超剣を軽々振った報告で、オロとモノ中級にしたようだな」

「ああ、さるお方の仲間と同じ、あれが振れる者は特別だからな」

「イノマと言う嬢ちゃんの事は知って居るか?」

「……思い出せん」

「冒険者の噂では、ハンエイ冒険者ギルドで一番腕利き実力があるとか、初級で制限が多く中級冒険者に同行して、手柄をかすめ取られてばかりの不遇ソロ冒険者だが、今日非常識コンビと一緒に来て超剣を軽々振ったぞ!」


 武器屋のゴウケンは、前からギュンタの依頼で、超剣を振れた者の報告をしてる。

 サブギルマスのピサロが居なくなったしわ寄せが、ゴウケンに余分な仕事をさせている。





「気を付けて」

 と言ってる間に、今度はモノが滑って転んだ。

「雪道は腰を落として、小刻みに歩くの!」

「イノマはチッコイから重心も低い、俺達みたいな長身は重心も高いから転ぶんだ」


「転んでばっかで、ちっとも進めて無い!日が暮れるけどこのまま歩くよ!」

「ちょっと飯を食って、休憩してから……」

「歩きながら食べれば良い!サッサと歩く!」

「イノマは容赦無いな」

 ぶつぶつ言いながらも、オロとモノはイノマに従い手製の弁当を食いながら歩いて、盛大にスッ転んでいた。


 歩ののろいオロとモノに呆れながら、イノマは新調した武器に馴染もうと素振りしながら進んだ。

 小柄で足も短いイノマは雪道に適して居るようだ、滑る事も無く余裕で素振りしてる。


 ヒジョウシキパーティーは結局1日半掛けて、翌日の昼にダンジョンに到着した。

「取り合えずダンジョンに入って休憩しましょ!」


「成る程!中で休憩の意味が分かった!」

 ダンジョンに1歩入ると、外とは全く違う暑くも寒くも無い世界だった。

「イノマはダンジョンに入った事が有るのか?」

「雪が積る前に2回、同行手数料取られるし、私一人に闘わせて魔鉄は全て自分達のものにして、魔石を人数分で分ける、酷く損ばかりした嫌な経験だったよ、ソロでゴブリン魔石集めた方が儲け良かった」


「ちっこいのに苦労して来たんだな」

「有力パーティーに入れて貰えて、運が向いてきた!非常識コンビには感謝してる……寝てるし…流石非常識コンビ」


 力を授けて貰って、無理がきく身体になれて良かった。

「暇だからゴブリン討伐始めよう」

 剛剣一振りでゴブリン2匹の首を刈れた。

「わぉ!良い剣は凄い!」

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