327 なるほど……そいつはご機嫌な意見だ

 恋愛の基本を説き、なんとか広田君を納得させる様な回答が出来た俺。

だが、まだ、何かに蟠りが残っているのか、ダッツとの復縁に踏ん切りがつかない広田が居た。


一体、その最後まで残った蟠りとは、なんなんだ?(。´・ω・)?


***


「仲居間の件だ」

「ばっ、馬鹿秀?なんでアイツが、オマエ等2人の関係に、関係が有るんだ?」

「学校で里香が、仲居間と俺を比較に出した以上、俺が仲居間を超えないと里香とは付き合えない。矢張り、あの言葉は重く突き刺さったからな」


そう言う事か……


しかしまぁ、やってくれたな津田よ。

最悪だぞ、オマエ。

マジで最悪な物を、広田に突きさしてくれたもんだな。

あのオマエの何気に放った言葉が、広田の胸を貫通しちまってるじゃないか!!


しかしまぁ、この様子じゃあ、また広田のフォローしなくちゃなんねぇみたいだな。


ったく、世話の焼けるカップルだな。

(↑またしても偉そうな俺)


まぁつってもだ。

コイツの抱えている蟠りが解った以上、この問題は、さして大した問題じゃねぇんだよな。


俺でも論破出来るレベルの話だ。



「あぁそれな。それなら気にしない方が良いぞ」

「何故だ?」

「いや、アイツなんぞ基準にしてもだな。誰も勝てねぇって。ありゃ、普通に考えても人間じゃねぇ。人間界の支配を企む性質の悪い『魔王』だ。言うなれば魔界の使者だ」

「はぁ、何を言ってる?」


MAX厨二病発動。


けど……広田には、この厨二病的な発言が通じそうにないから、これで厨二病は終了。


普通に話すべか。



「あんなぁ広田。確かに、そうやって高い目標を持つ事は良い事だがな。それは余りにも上を見過ぎて、足元がお留守になってるんじゃねぇのか?」

「ぐっ!!そうかも知れん」

「それに、あの馬鹿だって、ズッと1人でやって来た訳じゃねぇ。人間、成功するには、必ずしも協力者が必要だ。それを上手く操ってるのがアイツなだけだ」

「……確かにな。言われてみればそうだな」

「要は考え方なんだよ。……因みにだが広田。アイツが、今一番必死になってる事が、何か知ってるか?」

「なんだそれは?今の仲居間が必死になる程の事が、なにかあるのか?」


いやいや、ヤッパリ、良い流れですぞ。

俺の思い描いた通りの展開が継続されているんだなからな。


だから此処で、あの話を持ち出せば完璧だな。



「女だよ女。しかも、名前も知らない、顔も見た事の無い女だ」

「はぁ?なにを言ってる?何故、仲居間が、そんな見知らぬ女の為に必死になっている?それに、なんだその不確定な女性は?」

「いや、なんでもよぉ。MITとか言う化け物が集う大学に飛び級した、一級上の化物みたいな女なんだがよぉ。アイツ、ソイツの事が妙に気に入ったらしくてな。んで、ソイツを振り向かせる為に、アイツは必死になってるそうだ。……訳わかんねぇだろ」

「確かに、全く訳がわからないな。ただ、仲居間なら言い出しそうな事ではあるな」

「だろうな。俺もそれには同意見だ」

「しかし、何故こんな、回りくどい話をする?」

「いやな。これって、とどのつまりだな。あの気の狂った馬鹿ですら、女の為に必死になってる訳だろ。って事はだ。『男が仕事をするのは、女の為なんじゃねぇのかな?』って思った訳だ。なら、さっきの俺の話に繋がらねぇか?」

「なるほど、そう言う理屈か。……上手く話を持っていかれたもんだな」

「まぁな……でも、悪かねぇだろ、そう言うの」

「確かにな……一理ある」


此処で一旦グラスにビールを注ぐ。


なんとも中学生らしからぬ行為だが、これはこれで良い。


『乾杯』ってものは、基本的にはアルコールでするもんだ。


それが大人の鉄則って奴だ。



『コンッ』


俺と、広田は、グラスを当てた後、再び一気に飲み干した。



「よし、じゃあ此処からは最終確認だ。オマエの中で『津田里香の存在意義』はなんだ?」

「敢えて此処で、それを言わせるのか?倉津、意外に性格が悪いんだな」

「あぁ、言葉を吐いた方が責任が出る……コイツは、崇秀に習った事だ」


千尋は『そう言うのは、口に出して言うな』って言ってたけどな。

けど、広田の場合は、他人に口に出して伝えた方が良いタイプだと判断しての提案だ。


特に、こう言うメンツを気にする様なタイプは『勝手に、自分の言葉に責任を持ってくれるから』有効だと思う。



「なるほど、そいつは頷ける性格の悪さだ」

「だろ。っで、どうなんだよ?」

「そうだな。俺は、里香を……」


広田の朴念仁が、此処で何を言ったかは、今は伏せておこう。


そいつは、これからのコイツの行動が、全てを語ってくれるだろうからな。




「なるほど……そいつは、ご機嫌な意見だ」


広田は、再び乾杯を求めてきた。


その乾杯こそが、コイツが俺に出した答えの全てだ(笑)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>

これにて第一章第二話『あちらこちらで激突』かつ。

シーズン①は、これにてお仕舞に成るのですが……


あららららら。

なんだか倉津君、序章の時とは豪い違いで。

広田君を見事に説き伏せ、本編では中々の好スタートを切ったみたいですね。


まぁ……それがいつまで続くかは不明ですが、彼なりの頑張りだけは評価できると思いますです♪


さてそんな中。

次回からは【シーズン②】として、今より少し時間が進み。

【学校の、とある行事】で起こった出来事をメインにお話をしていきたいと思います。


題して……【何故に、俺の意見がこんなにも通る?】でございます。


まぁ、そこでなにが起こるかは次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


……ある意味、地獄の幕開けですから(ボソッ)


なんか言ったかオイ!!( ゚Д゚) (´з‘)何も言ってないよぉ、ぴゅ~ぴゅぴゅぴゅぴゅ~♪

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最後まで奏でられなかった音楽【シーズン①】 殴り書き書店 @nagurigakisyoten

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