326 それ……なんか違くねぇか?

 広田君が、ダッツと付き合いっていた頃から抱えていた『心の浮気』の相手は……なんと素直だった!!


そして今、その概要が明らかにされる!!んだが、マジでか!!( ゚Д゚)


***


「オイオイ、マジかよ?」

「あぁ、至って真面目な話だ」

「そっ……そうか」

「あぁ。っでだ倉津。そこで恋愛経験豊富なオマエに聞きたいんだが。この場合、どうすれば良い?」

「いや、どうと言われてもよぉ。今の状況じゃあ、キッチリとした状況がわかんねぇから、なんとも言えねぇなぁ」


取り敢えず、此処は誤魔化そう。

俺自身もあまりの衝撃に、思考が停止しそうに成ったしな。


此処は冷静に、冷静に。

腫れものを触るが如く、冷静に成んなきゃな。



「状況がわかれば、回答が出てくるのか?」

「いや、そう言う訳じゃねぇけどよぉ。……まぁ、多少の助言ぐらいなら」

「なら、話させてくれ。俺も、このままで良いとは思っていない」

「あっ……あぁ」


そう来るか……


広田の性格からして、そんな事を言い出すとは微塵も思ってなかったんだが、この様子じゃあ、実は、意外と精神的にまいってたんだな。


コリャアもぉ、聞くしかねぇ様だな。


そして広田の口からは、またややこしい事を語りだされた。


***


「……大体、そんな感じだ」


・・・・・・


今、広田が、素直を好きな理由の全容を聞いたんだが、それ、ちょっと違くね?

言いたい事は解らなくもないんだが、恋愛の話と言うには、なにかがズレてる様な気がするんだが……


まぁ要約して広田の話をするとしたらだな。


コイツは、幼稚園の頃、罷り也にも素直に告白して、子供也にちゃんと付き合っていた。


だが、その光景を見た周りが2人を冷やかし始め。

その冷やかしに耐え切れなくなった広田は、段々と素直を疎遠になったっと。


んで、なにやらハッキリしない状態のまま、素直が転校。

それ以来は一度も逢っていなかったが、まぁ今回、中学で奇跡的に再会。


……っで、思い出した様に、反省をして、もう1度やり直したいと。


うん、まぁ気持は解らなくもないだが、ヤッパ、これは、おかしいだろ。



「俺がオマエの話を聞いて一番最初に思った事は、オマエさぁ、なんか勘違いしてねぇか?」

「なにがだ?」

「いやよぉ。これは俺が感じた事に過ぎねぇ事なんだがな。そんな状態で、今更、素直とやり直して、どうすんだ?それに、さっきも言ったがよぉ。素直だって、いつまでも、そんな事を憶えてる筈がねぇと思うんだが」

「そうだろうか?彼女は、俺がした酷い仕打ちをなんとも思っていないだろうか?」

「いや、つぅかよ。逆に聞きたいんだがよぉ。素直が、そんな些細な事を憶えてて、なんの得があるんだ?それに、もし仮にだな。素直が、そうやってオマエを恨んでるとしたら、どうやって素直と付き合うんだ?まずにして、オマエに靡く筈が無いと思うんだが。……どうだ?」

「たっ、確かに、そうだな」

「それによぉ。今の……いや、前の彼女である津田に好かれてる状態ですら、オマエは上手く付き合えなかったのに、恨みを持たれてる奴と上手く付き合えっていけるのか?そっちの方が難しくねぇか?」

「うっ」


おっ!!この広田の反応は、俺にとっては好反応だ。



「まぁよぉ、オマエの素直に謝罪したい気持ちもわからなくもねぇがな。もう、そっとして置いてやるのが筋ってもんじゃねぇのか?」

「だが、それでは、俺の気持ちが治まらん」

「いや、それも頂けねぇな。オマエが、もし本気で謝罪する気があるなら、そう言う感情は抑えて、下手に干渉べきなんじゃねぇのか?それって、多分、一方通行な傍迷惑な行為だぞ」

「何故?」

「だってよ、考えても見ろよ。今のアイツは、俺の事が好きなんだからよ。そんな事を、今更、掘り返してワザワザ言われても迷惑なだけだろ。……オマエが、素直の立場なら、どう思うよ?」

「ぐっ!!」


うっしゃあぁ~~!!広田がこの反応を見せてるって事は、完璧だよ完璧!!

そう考えると、矢張り仲居間流は、なんに使っても有用だな。


上手く使えば、俺みたいな葉緑体でも、人に説法かませんだからな。


『人としてはダメ先生』は、マジスゲェな!!



「あぁ序に、もう1つ教えておいてやるよ」

「なっ、なんだ?」

「一応、これは参考程度に聞いて貰えたら有り難いんだがな。……素直は、凄い重たい女だぞ。津田なんかとは比べ物になんねぇぐらいヘビーな感じだ」

「本当か?」

「あぁ、本当だ。因みにだが、アイツが俺に告白して断られた時、アイツなんて言ったと思うよ?」

「なんて言ったんだ?」

「『俺が奈緒さんと別れるまで待つ』って言い切りやがったんだよ。有り得ないだろ?」

「有り得ないと言うか、そこまでオマエの事が好きなんだったら、今更、俺に入る余地は無いな」


あぁ凹んだな。


まぁ、そりゃそうだろうよ。

昔好きだった女が良い女になって自分の前に現れりゃ、そりゃあ、男としては気にはなるわな。

しかも、その女が、もう他の男の事を好きだとか言われたら、気持ち的にも凹んで当たり前だしな。


アイツ、オッパイデカイしな。



「いや、あのよぉ。そこは余地が有るとか、無いとかの話じゃなくてだな。まずにして『恋愛』と『謝罪』って別もんじゃね?そこを一緒にする事自体、間違った方向に行ってる様な気がするんだが」

「確かにな」

「……っで、結論的には、どうなんだよ?オマエのやった事は『浮気』か?『津田を裏切った行為』か?」

「そう言われると、なんとも言えないな」

「だろ。まぁこれで、少しぐらい気が楽になってくれりゃあ良いけどな」

「すまないな、倉津。おかしな相談を持ち掛けてしまって」

「いやいや、俺が先に、オマエを誘ったんだから、オマエはなにも悪くない。俺の方こそ、根掘り葉掘り聞いて悪かったな」

「いや、気にしないでくれ。俺もどこかで、誰かに言いたかっただけかも知れんからな」


おぉ!!やっぱり、広田は悪い奴じゃねぇな。

要するにコイツは、根が真面目で、融通が利かないだけだ。


もう少し気楽に生きりゃ良いのによ。


ホント、どん臭ぇ奴だよ。



「そっか……とっ、ところでよぉ。津田の件はどうするんだ?」

「里香の件か。……今のところ、まだ、なんとも言えないな」

「此処まで来て、なんでだよ?」

「あぁ、なんて言うか。一応、別れてしまったから、今更、復縁してくれって頼むのも厚かましいだろ」

「まぁなぁ……けどよぉ。今のままつぅ訳にもイカンだろ」

「倉津……やけに、里香に肩入れするんだな」


アイツが良い奴なんだから、しょうがねぇじゃねぇかよ。



「まぁなぁ。肩入れしてるのは否めねぇな」

「何故だ?何故、そこまで里香に肩入れする?」

「いや、他愛もねぇ話なんだがよ。アイツ見てると危なっかしいんだよ。なんつぅか、全身隙だらけだしよ。放って置いたらよぉ。どっかの悪い男に騙されるんじゃねぇかと思ってよ」


例えば、ゼンとかな。

あれはあれで、上手く女に取り入る事もあるからな。


アイツが、しょぼく見えるのは、奈緒さんとか、ステラみたいな百戦錬磨にチョッカイ出したからに過ぎねぇ。

信じねぇかもしんねぇけど、中学生としてみたら、そこそこのナンパ師なんだぞ。



「里香が騙される?……イマイチ、想像出来んな」

「うん?なんでだ?」

「いや、俺が言うのも変なんだが。里香は天然っぽいところもあるが、あれでいてシッカリしている。誰彼構わず、付いて行ったりはしないと思うが」


いや……俺に付いて行ってる時点で十分に危険なんだが……



「まぁ確かに、俺の知らない部分は沢山有るからなぁ。断言は出来ねぇな」

「だろ」

「まぁ、それでもだ。俺から見たら、アイツはスゲェ危なっかしい訳だ。んな訳で、津田と、オマエが付き合って欲しいって願望は消えてない訳だな」

「何故?」

「いや、まぁ、あれだ。なんつぅか、オマエ等の純愛っぽい感じが良いんだよな。2人で障害を乗り越えて育てていく愛なんてよ。超良い感じじゃね?」

「なんだそりゃ?」


おっ、此処に来て、漸く広田の言葉が崩れてきたな。


これって、本格的に酔いが回って来たか?



「いやよぉ、そう言うの男女関係って憧れね?」

「おかしな事を言う奴だな。オマエと、向井さんだって、十分にそう言う関係じゃないか?」

「いや、それがそうでもないんだよな」


あぁヤバイ……


今は、津田と、広田を上手く行かさせる計画で動いてる筈なのに、自然に愚痴が出て行きやがる。


アルコール恐るべし。

(↑自爆気味の俺)



「何故だ?あんなに上手く行ってるのに、なにが不満なんだ?」

「いやいや、不満って訳じゃねぇんだけどよぉ。奈緒さんってな。あの通り、ナンデモカンデモ俺の不始末をフォローする様な人なんだよ。だからよ。2人で育ててるって言うより、一方的に奈緒さんが、俺を育ててるって感じでな。そう言う関係には程遠いんだよな」

「ぷっ……倉津でも、そんな事が有るんだな」

「いや、つぅか、こんなの毎度のこったぞ。俺なんか、基本ダメ人間全開だからな」

「自覚してるのか?」

「あぁ、自覚せざるを得んな……って!!うるせぇよ!!」

「ぷっ、悪いな」


おっ、漸く笑いやがったな。


けど、なんかよ。

これって、結構、良い感じだよな。

俺としては、まるで馬鹿秀とか、山中と話てるみたいな感じだしよ。


それにこれは、広田の奴も、少しは俺に気を許した証拠。


実に悪くねぇ。


やっぱよ。

こうやって、お互いが、自分を曝け出して話せるのって、おもしれぇよな。


最近、そう言うの少なかったしな。


まぁ……広田がどう感じてるかはシラネェけどな。



「ったくよぉ。ツマンネェ話させてんじゃねぇよ」

「確か、オマエが、最初に振ったんじゃなかったか?」

「悪ぅござんしたね」


そうだよ広田。

それで良いんだよ。


そうやってよ。

津田にも、自身の言いたい事を言って、もっとオマエの本性を見せてやれよ。

そうすりゃあ津田も変な蟠りを持たずに、もっとオマエの事を好きになるだろうしよ。



「さてと広田よ。俺から1つ提案が有るんだが、聞いてくれねぇか?」

「里香の件か?」

「あぁそうだ」

「なんだ?」

「もっかい、アイツと付き合ってやってくれねぇか?アイツ、スゲェ良い奴だぞ」

「言われなくても知ってる。……だが、その提案に乗るにも、俺には1つ欠けてるものがある。それを解消しなくちゃ、話にならないな」

「なんだよそれ?」


まだ此処に来て、なんか蟠りがあんのか?


中々しつこい蟠りだな。

なんならバスマジックリンでも掛けて、そのこびり付いた蟠りを落としてやろうか?


そんなもんで、落ちるか、どうかは知らんけど。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


此処は倉津君の言う通り『恋愛』と『謝罪』は別物。

付き合ってる際に、どれだけ相手に負い目を感じていようとも、そんな物は既に過去の話でしかなく。

今更ほじくり返されても、ただの迷惑にしかなりません(笑)


特に男女で、この辺には大きな違いがあり。


男性の場合:別れた瞬間はケロッとしていますが、後々、彼女と別れた事を後悔し始め自責の念に捕らわれる可能性が高く。

逆に女性の場合:別れた瞬間は超感情的に成りますが、後々、日を追う毎に忘れ去り、結構早い段階で日常性格に戻って行きます。


これらのデータからも解る様に、恋愛に関しては、女性の方が比較的冷静に成るのが早く、男性の方が女々しい感じに成るんですね。

今回の一件は、この辺りの男女の精神面の違いが大きく影響したのかも知れませんね(笑)


さてさて、そんな中。

どうやらまだ、広田君には『ダッツちゃんと付き合うに当たって』割り切れない事情がある様ですね。


それは一体何なのか?


まぁ、もぉお気付きの読者さんも居られるとは思いますが……次回は、その辺を詳しく書いてい行きたいと思います。


なので良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る