第2話

24になった。なったというだけで、世界そのものが劇的に変化したわけでもない。思想や心情は12ぐらいで固着して、そこから何も変わりはなかった。つまり中身は12。


街を救う関係上、ときどき殺し合いもするし、死にかけたりもする。12のときからの、変わらない日常。まぁたぶん25手前ぐらいで殺されるか感情を食われるかするだろうなと思っていた、その25手前が、今。


まだ、しんではいない。生きている。


そして目の前に、なぜか女がいる。いかにも年頃の、青春謳歌してますみたいな、そういう女が。12で成長が止まった自分にとって、青春を宣う連中はこの世で最も理解しがたい存在だった。


「酒とか。無いの?」


無いわぼけ。17だろうが。


「あっいま未成年だって思ったでしょ」


そりゃあまぁ。未成年だろどうみても。


「18になったよ。数時間前だけど」


そりゃあまぁ。おめでとうございました。


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±7 (短文詩作) 春嵐 @aiot3110

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