第2話 下剋上すぎる

大きな時計台を周りに、無邪気に走り回る子供や動物達、商業人らしき集団が色んな所に配給している、本当に平和そうだな。

「スラークスにようこそ」

「ここがスラークスか、でかいな」

「でしょ、人も栄えててご飯もおいしいの」

スアリスは、自信気な表情で都の紹介をする。

そう歩いていると、なにやら変な雰囲気が漂う所についた。

「なんか、嫌な感じの場所だなここ」

「あぁ、ここはホテル街だよ」

「えっ」

スアリスの予想外の発言に驚愕すると。

「あっ、違う違うそういうコトでここに来たんじゃないよ、私だってホテルに入ったことないし」

「そ、そうなのか」

なんだ、良かった、異世界ハーレム物語始まるかと思ったぜ、ちょっと期待はしたけど。

「もしたして、期待した?残念でしたぁ」

「うるせうるせ」

「見える?このホテル街の更に奥にある、おんぼろな家」

スアリスが指差した、その奥にあるのは、今にも崩れ落ちそうな、半壊廃墟だった。

「なにあれ、廃墟では」

そう言うと、スアリスはムッとした顔をして

「あれ、私の住んでる家だよ」

「なんかごめん」

まじかよ、あんな半壊した廃墟が家って、というか、もはや家じゃねぇ風穴空きまくりだぞ。

「まぁ、とりあえず行こ」

俺は、スアリスに手を引かれ、半ば強引に連れていかれた。

見たら分かる、多分この玄関を開けた先には、

虫や煙が充満するような部屋だろうなと、思っていると。


「たっだいまー」

スアリスが勢い良く扉を開くと、中は意外と小綺麗だった。

え、いや‥どういう仕組みだよ、外見は風穴空きまくりだったろ、なんでその風穴が無いんだよ。

すると、スアリスは何故か勝ち誇った表情で

「へへ、驚いたでしょ、これ部屋が綺麗に見える幻覚魔法なんだ」

「まじか、すげぇ‥ん?」

幻覚じゃねぇか、部屋は実質汚えんじゃねぇか。

「じゃあ、実質部屋汚いんじゃ」

そう言うと、スアリスは頬を膨らませながら、

「うっさい、仕方無いの、私みたいな、段外魔法使いに、そんな良い家買えないの!」

「段外魔法使い?」

「そうえいば、言ってなかったね、この世界には魔法使いにも位があって、魔法使いの魔法には、

魔法の威力 効力 出力に、速さ 持続力 精密などの、魔法の質、つまり実力によって、段位があるんだ」

「武道みたいだな」

魔法使いに、段位とかあるのかよ。

「初段から十段まであるけど、八段以上の魔法使いは、存在しないって言われてるんだ、ただ一人を除いて。」

「さっき言ってたダバブレブの魔法使いか」

「まぁ、ダバブレブの魔法使いは、全員二段以上だけど、五段にはいっていない」

ダバブレブ怖すぎだろ、さらっと言ってるけど。

「てか、八段以上居るのかよ一人」

「ダバブレブの連中を全員従える、段位は九段、正真正銘この世界で最も強力な魔法使い、彼の名は、ハイルス」


‥多分そいつラスボスかな?

その情報量は、強キャラしか許されないんだよ。

いや、逆にそのハイルスが居て、ダバブレブを配下に置いたラツァーリおかしいだろ。

「そのハイルス擁するダバブレブが、なんでラツァーリに負けたんだよ」

「ラツァーリには、最先端の化学兵器に生物兵器を有していて、ハイルスは自分の生まれ育った祖国であるダバブレブを守るために、他の魔法使い達を連れて、ラツァーリに挑んだんだけど、ラツァーリの兵器の前では、歯が立たずに惨敗した」

ラツァーリどうなってんだよ。

「ラツァーリやべぇな、でも九段にもなる程の実力があるハイルスが惨敗って、何があったんだ」

「ラツァーリは、都市を綺麗に一つ消し去るなんて容易な兵器に、あのハイルスを見るも無惨な姿にした生物兵器、その生物兵器は様々な個体がある」

「つまり、対魔法使いの生物兵器が」

「そう、魔法を防ぐその胴体に、即座にその魔法使いの弱点を正確に突き止め、打ち崩す戦術

ハイルスは、それに過去からの努力の賜物とも呼べる魔法を全て無効化され、更に自己の打たれ弱い所を打ち抜かれ、そのままやられた」

「なるほど、そりゃ負けるな」

スアリスと、そう話していると

「‥っ、リョクター、伏せて!」

「うぉっ」

スアリスは、そう言うと瞬時に、何かしらの攻撃魔法を背後に打った。


「段外の魔法使いとは思えぬな、良い威力に出力と速さだ、だが精密度でマイナス三十点って所だな」


背後を見ると、鎧を纏う、ただならぬ雰囲気を放つ大男が、スアリスが放った魔法を弾き返し、それはスアリスに直撃し、スアリスは倒れこんだ。

「ぐぁっ」

スアリスは、何か震えていた。

「な‥なんで、ここに‥‥ハイル‥ス」

「えっ」

あれがハイルスか、もっと老けている想像だったが、四十代程の様な見た目だった。


「大丈夫か、あいつがハイルスか、てっきりもっと年寄りかと」

「一見、見た目はそこまで老けてないけど、不老魔法で、実年齢は1000を余裕で越える」

「年寄り云々だな」


「貴様達、俺が直々に葬りに来てやった、光栄に思うが良い」

「ちょっと待て、なんでいきなり狙われんだよ」

「そ‥そうよ‥なんで」

「ラツァーリの意向だ、スラークスに住む魔法使い共を一掃して来いと、それと、転生者は災いの火種となるから、始末しろと」

「災いはお前だろ、てか俺が転生者って証拠あんのか」

「勘だ」

「勘か‥勘!?俺勘で殺されんのかよ」

「黙れ、貴様らと長々話すつもりは無い」

「リョクター、逃げて」

ハイルスは、手を俺の方に向け、魔法を放とうとしている、俺はハイルスの圧で脚がすくみ、動かくなっていると、スアリスが立ち上がり即座に

「スロッド」

スロッドを放った、ハイルスは避けようとしているが、俺はハイルスに飛びかかり体制を崩させた。

「な‥貴様ぁっ」

ハイルスは、スロッドに直撃し、気を失った。


するとスアリスは、何か嬉しそうにしていた。

「ど、どうしたんだよ」

「凄いよ、あのハイルスに勝てたんだよ、段外の魔法とただの人間が、九段の魔法使いにだよ!?」

「確かにそう考えたら凄いなというか、

スロッドって命中しても気絶するかどうかは、二分の一の確率なんだろ?お前今日だけで二回その確率引いてるから、明日何か起きるんじゃ」

そう言うとスアリスは、また頬を膨らませて

「そんなこと言わないで、とにかく凄いよ」

スアリスは、子供のように、はしゃいでいた。

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こじらせ異世界転生 段ボールさん @danbool718

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