最終話

 ――月田、いったい何をしてるんだ!?


 窓辺から彼女を見つけ、おれは慌てた。月田の目的がまるで分らないからだ。こんな天気の中ものともせず、これまたよく分からない集団に突っ込んでいくのだから。


 蹴とばすように席から離れて、月田のいる校舎裏に向かった。そこは建物を外からぐるっと回らねばならず、若干距離を要するのがもどかしい。3-A、3-B……教室が並ぶ廊下を走り抜けていると、怒声が間近から聞こえた。


「誰だぁ! 廊下を疾走する馬鹿はぁあ!!」


 声の主は隣クラスの担任、剛腕体育教師! ここにきて不運に見舞われてしまった。あいつに目をつけられたら最後、説教は賽の河原より悲惨かつ永遠とも有名な教師だ。しかし、すぐに反省した態度を見せれば、彼は大抵のことを見逃してくれることも知っていた。ここで捕まるわけにはいかない。


「すみませんでした~」おれは聞こえよがしな謝罪を告げ、競歩の選手もよろしく腕を振りぬいて早歩きを進めた。だが、これで月田の元へ到着するのもまた遅れてしまう。


 踊り場まで来た頃には、他人の目もなかった。校舎玄関まで駆け足になり、外履きへ履きかえる。

 外へ出ると、雨風は勢いを増していた。殴打するような雨が吹きすさび、木の葉をまき散らして、遠雷が轟く。神の怒りというものが存在するのであれば、おれはきっとこの空模様を思い出すだろう。


 だが、自然の驚異にたじろいでいられない。今はただ——月田を護ってやらなければ。


 傘立てから適当に引き抜いて「いざ行かん」と意気込んだところ、丁度校舎と外界を繋ぐ開け放たれた扉口付近にある、奇妙な物体に目を奪われた。

 あまりに場違いで、しかも一個だけでなく、二三転がっている始末だから、認識するまで時間がかかった。念のため近づいて拾い上げてもみたが「なぜここにあるのか?」という疑問だけは解消できず、頭をもたげた。


 突風が頬を濡らす。気付けばまた時間が経っている。

 いやいや、今はそんなこと、どうでもいい! 早く月田のもとへ。おれは乱れる息もそこそこに、嵐の中へ飛び込んだ。



—☂—



 おれが校舎裏へ回り込んだ頃には、月田はすでに例の男子集団と相対していた。月田は変わらず雨に打たれている。教室からは見えなかったが、小脇に鞄も抱えているではないか。


 男子らは数えてみると三人いた。先頭に知った顔が一人いる、あれはバスケ部の石井だ。短髪をワックスで固め、赤いユニフォームの上から制服シャツを羽織っている。後ろに控える二人は同級か後輩かも判別できない。


「なんだお前?!」荒げた声がこちらにも届いてきた。月田と彼らに漂う物々しい空気を感じざるを得ない。

 おれは何食わぬ顔で彼らに近づいていくが、そこまで来て石井たちにも気づかれる。つられて月田も振り向くが、軽い動揺のあとにすぐ正面に向き直った。月田の目元は怒気をまとった水気をたぎらせていた。それは雨なのか涙なのか、あるいはそのどちらともか。

 おれは月田と並び立ち、傘を彼女に差し向けた。やっと彼女から雨を遠ざけることができた。


「お、噂の彼氏が来たか?」ほくそ笑むように石井が言う。


 おれはそれに愛想笑いを飛ばし、月田に問う。


「月田、いったい何の騒ぎだ?」


「あの人たちが」


「あいつらがなんだ」


「巣を」


「スヲ?」


「ヒヨドリの」


 そこで合点がいった。ヒヨドリの巣、相変わらず会話が単語の往復で理解に時間がかかるが、今回はその先まで読めた——石井らが行っていた行為まで。


 ここからはきちんと確認することができないが、恐らく彼が投擲していた木の幹に、鳥の巣があるのだ。大の高校生の遊びにしては、品性がなさすぎる。自然、おれの握りこむ手も力が入った。

 しかし今どき同級生同士で諍いなどしては、月田含めて今後の学校生活に影響が出る。ここは事なかれ主義者のおれが出張るしかない。


「いやいや、参ったね。この雨だ、石井。今日のところはそろそろ雨宿りでもしないか?」実際、いよいよ台風でも来るのかというほどの烈風だった。


「あ? 知らねえよ馬鹿。そこの地味子がおれらの勉強に難癖つけてきたんだよ、な?」後ろの連中が大げさに相槌を打った。


「勉強? にしては少し常識から外れてないか」


「んだと、お前も文句か。あーそうだな、お前ら二人は毎日バードウォッチングで忙しいからなあ。もうあそこのウォッチングはしたの、ねえ」


 ぎゃはは、と下種な笑いが起こった。隣の月田がすっと歩み出ようとしたが、肩で行く手を阻む。あと少しで、彼らは優越を蓄えて満足する。もう一つ忍耐すれば収まるはずだ。


「はは、おれと月田も、まだそんな仲じゃないんだ。現在、構築中? ってとこか。とにかく邪魔して悪かった、今日はお開きにしようぜ」


「あっそう。まあどうでもいんだけどよ」


 石井の手元には大き目な玉砂利の一つが見え隠れしていて、軽く宙に放っては掴む動作を繰り返していた。「最後に一発かまさせてくれよ?」


石井が不敵な笑みを月田に向けた。「もう少しで、ヒットしそうなんだわ」


「やめてっ!」


 月田の鋭く甲高い声が、風の咆哮を貫いた。


 それが引き金となった。「やめねえよ!」刺激された石井が大きく振りかぶる。


 ——ちくしょうっ!

 

 無我夢中で、握りこんでいた物を放り投げていた。傘ではない。月田の所へ向かう途中、玄関で拾ってそのまま持ってきた物体。


 ……やっちまった。


 気付いた時には、石井の頭に黄色の粘液がべっとりと付着していた。白身と黄身が滴って、乾いた音を鳴らして殻が地面に落ちる。


「あ? んだこれ?」顔を拭う石井の表情から、激憤が膨らんでいくことが伺えた。


「月田、逃げるぞ」


 おれは傘を放り投げた手で、月田を連れだち駆け出した。

 ふいに辺りが閃光に包まれる、雷鳴。稲妻がおれらの背で轟いた。



— ☂ —



「急げ!」


 石井たちの怒号を背後に、おれたちは脱兎のごとく校内を抜け出た。 横殴りの雨が足元をすくってくる。泥水がはね、靴が水分を吸い込み重たく冷たい。


 それは不意な出来事だった。歩道に突き出ている縁石を小さく飛び越える必要があった。二人の歩幅など考えもせず、おれが跳びあがったのがいけなかった。少し進んだ先で「待って!」と月田の声が響いた。

 はっとして振り返ると、月田が小脇に抱えていた鞄を漁っていた。


「どうした?!」


「無いの!」


「何がだ?」


「本! 狭山くんから貰った本!」


 貰った——否、珍妙なトレードをしたあの『世界の美しい鳥』


「後で拾いに来よう、今は——」


「駄目っ、あの本は……絶対駄目!」 


 狂うように激しさを増す豪雨の中、泣き叫ぶように月田も取り乱す。

 周囲を見渡してみると、数メートル先にそれらしきものが見えた。二人で戻り、拾い上げる。表紙は砂利で傷つき、ページは水を吸ってふやけてしまった。

 やっぱりおれの勇み足が原因で、縁石を避けたところに落ちていた。


「良かった……」


 本を丁寧に拭う月田の姿に熱い何かが込み上げた。だが、慈愛とも呼ぶべき彼女の一言に浸る暇もなく、おれたちはすぐにその場を離れた。


 一心不乱で学校から離れ、駅前まで来ていた。どうやらおれも走り続ける限界がきていたようだった。大きく息をして振り向いたが、石井たちの姿はない。月田も呼吸は切れ切れだったが、おれよりも幾分落ち着き払っているようで、胸に拳をあて呼吸を整えていた。


「大丈夫か月田」


「うん」


「とりあえず家まで行こう」


 そうして今まで握りしめていた手の温もりに気づき、熱いものへ触れたように離した。月田は握られていた手の平をまじまじと見つめ、何かを検査するかのように指をにぎにぎ動かした。


「行こう」


「狭山くん」


「なんだ?」


「はぐれるかもしれない」そう言うと月田は、おれの右手をとって歩き出した。



— ☂ —



「あんたたち、なんだいその恰好は!?」


 家業のクリーニング店入り口へ駆け込んだおれたちを見て、母は驚愕の面持ちだった。そうして母は「凜ちゃんおいで」と、汚れも気にせず純白のバスタオルを月田へかけてあげ、店の奥で介抱してくれた。


 こういう瞬間に、一息子のおれではなく、月田を真っ先に思いやってくれる母が、心からおれの母で良かったと思えた。母ちゃんありがとう。


「で、いったいこのすったもんだは何?」


 ごしごしと大型犬を撫であげるがごとく、なすがままの月田をバスタオルでくるみ、訝しんで訊かれた。


「ちょっとね、おれもまだ事態が飲み込めていなくて、ははは」あえて自ら切った火蓋を懺悔しなくてもいいだろう。今はただ、非体育会の体力のなさに感傷したかった。


 が、その束の間も許されなかった。辿り着いた我が家のガラス戸を開ける人物がいた——石井だ。まさかここまで来るとは予想外に他ならない。

 母が来客の意を示そうと挨拶をしようとしたが、制服を認め、なによりもその表情の険しさに息を飲んだ。


 それだけでない、石井が店内へ足を踏み入れたあと、すぐ後ろから類を見ない巨体が現れた。上枠に頭をぶつけないよう屈んで入り込んでくるほどだ。石井と同様、短く切りそろえられた短髪に、厚い唇と日焼けした顔の色、背丈も相まって黒人のように思わせた。


 うちの高校で知らないわけがない——バスケ部“前”キャプテンの岩崎先輩。

 まさか石井が自宅まで追い詰めてくることも驚きを隠せないが、卒業しているはずの岩崎先輩も、後輩の揉め事に首を突っ込んできたのか。万事休す。


 どのような状況であれ、月田と母に危害が及んではいけない。店内のカウンター前で立つ二人におれは向かい合った。


「狭山ぁ」


 おもむろに石井が話しかけてきた。すでにぶつけられた卵の面影はないが、おれたち同様、制服から落ちる滴で床を濡らしていた。

 まさか店内で乱闘を起こすとも思えないが、人間は怒りに我を忘れることもある、念のため交渉を——


「申し訳なかった」


 ……え? 


 石井が両手をぴたりと付けて、腰を折っている……

 急転直下の状況に、こちらも意図が掴めない。止まった思考は機械のように身体を動かし月田を視認したが、彼女もまた目を見開き「はて?」と首を傾げるばかりだった。


 その直後。


「声が小せぇえええええええええっ」


 店内が震えたかと思うほどの大咆哮。

 ピシャアアン——今日、二度目の雷鳴がほとばしる。まばゆい光が店内を包み込み、岩崎先輩の巨躯が大きな影を創り出す。そこでやっと、声の主が岩崎先輩であることに思考が追いついた。


 身体と同様、鍛え上げられた丸太ような前腕を組み静かに佇むその岩崎先輩の姿は、さながら仁王像の姿を脳裏に焼き付けた。


「申し訳ありませんでしたぁああ」同じ姿勢を微動だにせず、石井が先ほどよりもボリュームを増して謝罪の言葉を張り上げた。


「狭山のおばさん、うちの後輩がとんでもない失礼を致しました。この通りお詫びさせてもらいます」すぐに岩崎先輩が忠義を尽くす兵士のようなお辞儀を母に向け、示した。あまりに無駄のない動きに、もはや芸術性すら感じさせる先輩の所業は、おれを含めた関係者すべて時が止まったように魅入り、固まってしまった。


 いつまでそうしていただろうか、我々(母と月田、そしておれ)が静寂を破らねばその体制を崩さぬとも言わんばかりに、石井と岩崎先輩は頭を下げたままでいるようだった。


「あんたたち! なにがあったか分からないけど、おばさんは謝られる筋合いはないよ。二人とも顔を上げて、いいから、ほら早く!」


 見えてもいないだろうが身振り手振りも大きくなって、母が話しかける「若気の至りに間違いはないんだから、後は皆で話しな」


 目を伏せたまま岩崎先輩は言う。「本当にご迷惑おかけしました」


「なにも迷惑なんかあるかい」


「いえ、これ以上お邪魔しては狭山くんにも面目ありませんので、これで失礼させていただきます」


「はあ! それは保護者としてわたしのが困るのよ! 皆濡れ鼠なんだから、服脱いで居間に座ってなさい、ね?」


 母が慌ててカウンターから飛び出したときには、もう岩崎先輩は扉に手をかけていた。

 すると、この波乱の中、また闖入者がやって来た。荒れ狂う自然の驚異から逃れるように、ぬっと店内に顔を出した男がいた。


「沙村」おれより先に驚きの声をあげたのは岩崎先輩だった。「そうか、そうだなお前は狭山の……沙村、おれの顔をに免じて、今回の件許してくれないか」


「やめてください先輩。許すも何も、僕は偶然立ち寄っただけですから」


「そうか……相変わらずだなお前は」


 ふんと鼻を鳴らし、岩崎先輩は沙村の脇をすり抜けていく。

 石井は、岩崎先輩と母のやり取りの間もずっと姿勢を変えていなかった。先輩がガラス戸を引く直前に、頭を小突いてやっと初めて顔を上げた。誰とも目を合わさず、表情の深奥までは伺うことが出来なかった。しかし、どういうわけか、おれの中には石井に友情とは違う、好敵手のような好感を抱いていた。だからこそ、おれが行った非を自ら認め詫びなければ、彼に負けたことになる気がした。


「石井!」岩崎先輩の後を付いていくところに声をかけた。「おれも悪かった。申し訳ない」


 事の張本人である彼は、頷きも否定もせずに店内を去っていった。



— ☂ —



 石井と岩崎先輩が(獅子のような)謝罪を済ませ、我が家を去ったあと、沙村以外のおれたちは事態の咀嚼にどっと疲れてしまった。沙村だけはへらへらとした顔で、すべてを理解したかのようにしていて、腹が立つ。


「沙村、なんでお前がここにいるんだ」


「狭山と月田さんが追われるように走っていったのが見えて、追いかけてきたのさ」


「“見えて”じゃなくて、“見ていた”じゃないのか?」


「どちらも同じ意味じゃないかな」


「ぜんぜん違う。それからお前、岩崎先輩とどういう関係なんだ」


「あぁ、まあ……お世話になった先輩だよ——あ、おばさん僕も手伝いますよ」


 のらりくらりと会話を切られて、沙村は母と一緒に汚れた床の掃除等、事態の収拾を手伝い始めてしまった。互いに知った仲である母も、彼の申し出に喜んだ様子だ。


「まったく……」自分の尻拭いを親と友人に任せるわけに行かず、おれも向かいかけたが「あんたと凜ちゃんは奥で着替えてきなさい!」と母の怒りを買ってしまった。



— ☂ —



「ジャージを出してたんだった」月田は思いついたように言い、奥で吊るされている無数の衣類をまじまじと見つめた。


「控えの番号分かるか」


「うん、財布にいれてる」


 月田の控え証を確認し、おれは月田のジャージを探した。すでに乾燥まで終わっていたようで、完了のビニールに包まれたものを月田へ渡した。「着替えるか?」


「うん」


「じゃああっちに行ってるから」


「待って」月田は受け取ったジャージを顔まで上げて隠すようにする。


「なんだ?」


「絶対見ないで、見たら殺し殴る」


「いやだから見ないようにあっちに——じゃなくてここにいても見ないけど! あと殺し殴るって、殴り殺すより怖くなってるから!」なんでおれが慌てないといけないのか、このままでは月田のペースに乗せられそうだ。


「あっち向いてて」


「は?」


「話したいことがあるから。もう着替えるからね」


 わあわあ、有無を言わさない口調におれは今度こそ慌てて振り向く。目を瞑っては逆に聴覚に集中しそうで、部屋の隅を一点に見つめた。衣擦れの音と同時に月田の声が聞こえた。


「狭山くん」


「おう」


「今日はありがとう。それから……ごめんなさい」


「月田は悪いことしてないじゃないか」


「たくさん迷惑かけた。もういいよ」


 月田はそう言ったが念のためもう一度確認して背後を見やった。同じクラスで体育を受けているはずだが、制服以外の月田は新鮮だった。


 ふと学校のことを思い出したからだろうか、おれは今朝の登校時から上の空の原因となっていたことを口にしてみた。月田が思いつめたように告げた、今日放課後で待っているように——とは何か。まさかとは思うが、それでもおれは何かしらの……そう異性間のこう、特別とも呼べる、青春が扉を叩くような訪れを期待しないでもないでいた。


「月田、その、なんというか。今日おれを放課後に呼んだのは……なにか、あったのか?」


「あ、そうだった! 狭山くんに渡さないと」


 すっかり当初の目的を忘れていた反応だ。まあこれも月田らしいというか、なんというか。それから言葉ではなく‟渡したいもの”、いや待て、“渡さないと”って言ったか? 月田はずぶ濡れになった鞄へごそごそと手を入れている。「あった!」

 小奇麗な便箋が出てくるかと凝視していた先には透明なビニールに入った——卵たちだった。「たまご!?」


「そう。ゆで卵」


「ゆ、ゆで卵? 花柄の便箋は……?」


「便箋? なに言ってるの。今日は調理実習で卵料理だったんだけど、私卵食べられないから。本当は調理もしたくなかったんだけど、先生に怒られたから必要な分だけゆで卵にしたの」


「必要な分……そういえば学校の玄関に卵が転がっていたけど、あれは月田のじゃないか?」


「あ! そうだった。未調理の卵が何かあって割れちゃうと困るから、あそこに置いてきたんだった、どうしよう」


「そういうことかよ……」


 おれは妙にこれまでの奇妙な出来事たちに納得してしまって、自惚れた期待も見事に打ち砕かれてうな垂れた。


「狭山くん、卵は投げちゃ駄目」


「そうだな、悪かった」おれは沈んだ声を返す。


「狭山くん、ど、どうしたの。卵は投げたけど、その、助けてくれたとき……か、かっこよかった、よ?」


 おれの態度が一変したのを察してか、月田はうろたえ始めた。対面に座った椅子から、こちらの表情を覗こうと必死になり、両手を太ももに押し付けて緊張している。

 今日くらいはいいだろう。もう少し、月田の困り顔を見てやろう。


「ああ駄目だ。もう嫌いになりそうだ」


「え……きら、きらい?」


「すごく好きだったのに」


「うう、うそ? それはあのっ、本当に困る……ぜんぶ謝るから、本当にだから、私もす」


「卵が」


「ふぇ」


「卵が嫌いになりそうだなー」


 月田がこちらを見つめている。その表情は、まだ乾ききらない頭の上に、小鳥が一羽止まったように思えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

鳥と雨 七色最中 @nanairo_monaka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ