曰く、聖女は魔王四天王がびっくりするほどの武闘家である
「私が!そんな肉弾戦得意に見えますか!」
「そういうところでは?」
「勇者様は黙ってください!」
バァン!と机を思いっきり叩き、立ち上がる聖女様。
そうですよね!か弱い乙女がそんな筋肉ダルマみたいな言い方されたら流石に怒りますよね!
でも……あの……聖女様。机を叩いた部分……凹んでいるのですが……。
「武闘家……武闘家ねぇ……」
「確かに……ちょーっと聖女ちゃんは喧嘩っ早いところあるかも……」
「何言ってるんですか賢者さん!」
すると、聖女様は目を瞑り、両手を胸の前で組む。それだけで、どうしてか聖女様の周りに天から光が差し込んでいるように見えます。
「いいですか?王女ちゃん。聖女とは、人を癒し、病を治し、正の道から外れた人を更生させる人です。そんな、武闘家なんてこんな私の細っこい腕じゃ────」
「お前、それ更生のさせ方が一番ゴリラってよく言われてるから」
「ありゃ更生じゃねぇ。制裁だ」
「そりゃあの四天王も私達に土下座したあと裸足で逃げ出すわよ」
グサ、グサ、グサ、と聖女さまに見えない矢が3つ刺さりました。笑顔が固まりました。
「これは分かるんですか?勇者様」
「おうよ王女ちゃん────俺も最初見た時、相当びっくりしたから覚えてる」
ヒェッ…、少しおちゃらけた雰囲気の勇者様が、途端に真面目に……。
「あれはそう。魔王軍の中でも、一番人を殺した『虐殺公』を倒した時のことだ」
「敵対してた魔族でもよ、戦意がないやつとか、敵対してないやつとかはそれなりに見過ごしてたんだが」
「人を殺しすぎたのが、聖女ちゃんの琴線にふれちゃったのかしらね。勇者が首を切り落とす前に、そいつの前に立って────急にぶん殴ったのよね」
「えぇ!?」
「聖女鉄拳です!たとえ神が赦そうと私は絶対に許しません!って言って、原型が無くなるぐらいにボッコボコに……」
「ありゃ、流石に可哀想だったよな……」
「最後らへん、あの虐殺公、涙流しながら私達に助け求めてたわよ」
「えぇ……」
聖女様……見た目によらず、随分とバイオレンスな人なんですね……。
「た゛っ゛て゛仕゛方゛な゛い゛じゃ゛な゛い゛て゛す゛がぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
「ひっ!?」
「おい泣いたぞ」
「知らん。俺は知らん」
「ずびー!悪人なんて!どーせ改心しますーなんて言っても!表面だけじゃないですかぁぁぁぁ!!だったら、最初からぶん殴って言う事聞かせるしか方法ないじゃないですかぁぁぁぁ!」
「そういう所が脳筋って言われるんだぞ」
「武闘家認定待ったなし」
「なーにが『神は赦してくれます』ですか!あんな頭のネジ三十本くらい飛び抜けてる愉快犯どもがそもそも耳傾けるわけないじゃないですか!」
「おいこれ大丈夫か?教会から背信者扱いされない?」
「やっべ……否定出来ねぇ……」
「あちゃー……この子のトラウマポイント刺激しちゃったかぁ……」
「え……あの……えぇ?」
あの、これどう収拾つけるんですか……?
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