からよりも中身こそだと片つむり

※からよりも なかみこそだと かたつむり


「またふられた」

「何人め? 皆あっちからなのにね」

「ふられるのも、向こうからだよ」


顔の割に、会話がつまらない。

思ってたのと、違う。

服のセンスが最悪。

……まだあるけど、さすがに思い出したくない。


「雨なら、たまにはふられてもいいのにね。ほら、カタツムリ」


本当だ、カタツムリ。

これ、ふられまくってる僕のことを、慰めてくれてるのかな。


「なめくじとカタツムリって、どっちが強いのかな」


ふられた、以外の話題が見付からなくて。

僕は、こんなことを言ってしまう。


確かに、顔はともかく、会話はつまらないなあ。


「うーん、とね。分からない」

そりゃそうだよね。僕も分からない。


「殻があっても、中身が弱いかも知れないし。空っぽじゃあ、だめでしょ?」


真剣に考えてくれてたんだ。


「外見がかっこいいから、って告白してきた子たちには、分からなかったんだよね、きっと」

……僕のこと?


「中身も、意外とかっこいいのにね。まあ、元気出しなよ。次の人は、中身も見てくれるかもよ」

片目をつむって、ウインクしながら。


そんなこと、言われたら。


殻がなくても、空っぽでも。


言いたくなるじゃないか。


好きです、って。


……僕のほうから。





※参考・引用[蜂蜜ひみつ様ご著作/てんとれないうらない/第53話/なめくじと/カタツムリ/どちらが強いか?/4点]より


※から、には 殻、と 空を掛けております。


いつもは、相手から。


……今度は、自分から?



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