朝
Lugh
朝
ここには朝がある
目覚ましが鳴る前には
もう 起きていて
はっきりとした意識が
横たわっていた
布団の中で
目覚ましが鳴るのを
じっと 待ち構えている
声 動き 気配
ゆっくりと流れる時間
暖かい布団が
睡魔とともに
覆いかぶさっている
自分に活を入れて
布団をかなぐり捨てる
顔を洗うと
世界が点と点を線で結び
実像が浮かび上がった
鏡に映る自分の姿を見て
過去でもなく 未来でもなく
いまを実感する
ときには耐えがたいほどの
苦痛と責任感を伴ったが
そんなことは もう忘れた
おはよう というあいさつ
さりげない言葉
さりげない仕草
短いあいだに
いろんなものが
通り過ぎていった気がする
後悔することはできても
後戻りすることはできない
他人を通して
不確かな自分を確認する作業
気がつけば
枠にははまらない
歪なかたちをしている
意識というやつは
いつからあるのだろう?
たぶん ここがはじまり
ここには
素敵な朝がある
朝 Lugh @Lughtio
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