プロローグ……制服少女の前に現れた…… 其の5 能力名:超爆弾 -ultra dynamite-
脳内GPSを頼りに相棒を探す。この雪という物はどうも苦手だ。血も肉片も覆い隠すので綺麗なのはいいがとかく寒いし歩き難い。近くまでは送迎して貰ったが正確な場所は私しか解らないのでどうしても歩く必要がある。膝下まで埋まるほど降り積もった雪はインドア系の私の体力を容赦なく奪っていく。
漸く発信源に辿り着き、私はスコップを片手に雪を掘り進める。降ったばかりなので軽いのはいいがインドア派の私には以下略。周りは相棒の力の痕跡、数10メートルに渡って薙ぎ倒された木々が生々しい。多分この雪の下には相棒のだけじゃなく幾多の敵兵の血や肉片も埋まってるのだろうな。それ等を掘り当てたら先程食べていたベーグルを吐き戻す自信があるぞ。
1メートル程掘った所で相棒らしきブロンドの長髪を掘り当てた。一応スコップで傷付けない様……スコップ如きで傷付く様な物でもないが、ゆっくりと周りを掘り、凍りかけている頭だけになった相棒を地表へと出す。
こんな大雪の中探す羽目になった恨みを込め、平手でパシンッ! と頭だけになった相棒の頭を叩く。
「ほら、もう起きてるんでしょ? 」
「……んあー……もう少し眠らせてぇ……」
「アンタのペースに合わせてたら私まで永眠するわよっ! ほら、さっさとミルクを飲んで自力で歩きなさい」
「え~回収部隊は近く迄来てるんでしょ? おぶってってよ~」
「この寒い中荷物を増やしたくないわよ」
「荷物扱い酷過ぎる……うぐっ!」
私は彼女の愚痴を塞ぐ様に哺乳瓶を口に押し当て強制的に成長促進剤を飲ませる。
「うぐっ、うぐっ、うぐっ……ごくんっ、ひ、ひどっゲフン、飲んじゃったぁ……酷いっ、強引に……飲ませるなんてぇ……」
「誤解を招く様な表現は辞めなさいっ! そういう所は兄妹そっくりね……」
「あの変態マゾ兄貴と一緒にしないでっ! ……って服は?」
「この寒い中荷物を以下略」
「この寒い中このナイスバディな美少女様を裸で歩けと?」
「アンタ寒さなんか感じないでしょ! ほら、ゆったり復活してないでさっさとしなさいっ! ナイス駄肉や手は後でいいから足出しなさいよ、足!」
「頭と足だけなんてどこの水素獣エ○チですか……」
……この後五分程で復活した相棒と私は無事回収される。嗚呼疲れた、早く拠点に戻って優雅に午後の紅茶を嗜みたいわ……。
相棒はスマホで相変わらず何度も何度も昔の日本国の特撮ドラマを見ている。巨大な赤いヒーローが敵に掴みかかって自爆し復活するシーンだ。能力の精度を上げる為のイメージトレーニングらしいけど……不死とはいえあまり多用はして欲しくはないわね。
無題 ~取り留めなきプロローグ集~ あるまん @aruman00
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