第13話

次の日の休み時間、俺は加奈とふたりで話していた。たまたま愛や柊はほかの人たちと話していていない。流石にいじるにしてもみんなの前ではやめたほうがいいだろうと思い、このタイミングでいじってみた。「加奈、結局誰が好きなの?」「なに急に!教えないよ!」たしかにちょっと急すぎたかもしれない。しまった。そもそもこんな話、誰ともしたことないしなあ。「けちだな〜。じゃあさ、何組?」「それも内緒!」「じゃあ部活は!なに部?」「それも教えない!」加奈は頑なだ。まあこれ以上聞いてもしょうがないし、諦めるか。「わかったよ。でも加奈に好かれるなんて、そいつ羨ましがられるだろうね。」というと加奈は「えっ!なんで?」と笑いながら聞いてきた。少し顔が赤い。「だって加奈、結構男子から人気だよ。結構かわいいって言ってるの聞くし。」さらに加奈の顔が赤くなる。「そうなの?ぜんぜん知らなかった。でもかわいくないよ!」と焦った様子で言う。加奈のこのリアクションは照れ隠しなどでは無く、本音で言っているのだろう。「そんな事ないよ。俺もかわいいと思うし、絶対モテてるでしょ。」加奈の顔がますます赤くなった。「そんな事ないって!何人か告られたことあるけど、別にそんなにモテたりしてないよ!」凄い身振り手振りだ。なんかおもしろい。俺は思わず笑ってしまった。「そんな否定しなくてもいいのに

!なんかおもしろい!」と俺が言うと加奈は少しむすっとして言う。「だって優が変なこと言うから!」むすっとしてるけど笑っている。こういう何気ない素の仕草もかわいいんだから、モテるんだろう。「ごめんごめん。じゃあ、最後、その人のどこが好きなの?」と聞いてみた。どうすればモテるのか学ぶ為なのは内緒。加奈は少し考えた後、恥ずかしそうに答えた。「その人ね、かっこ良くてみんなから人気なのにそんなに女子と喋らないの。でもね、うちには話しかけてくれるし、話も聞いてくれるんだ。よく笑ってて、こっちまでなんか和むの。それに、本人は気づいてないけど、いつも優しいし、ふとした時とか、細かいところにまで気遣ってくれて、ほんとにやさしいなって思ったの。たぶん、その優しいところが1番好きかな。」と加奈は少しスッキリしたような様子で笑っている。そうだったんだ。たしかに、すごいいい人そうだし、細かいところにまで気遣えるのは簡単じゃないだろう。俺は加奈がそんないい人と巡り会えてよかったなと思った。「そうなんだ。たしかに、すごい、いい人そうだね。俺、本当に加奈のこと応援してる。だから、なんかあったらいつでも言ってね。いい方向に行くと良いね!」と俺は感じた事を正直に伝えた。なぜか加奈の瞳が潤んでいる気がしたが、たぶん、気のせいだろう。好きな人の話をして照れているだけだろう。加奈はどこか力の抜けた様子で答える。「うん。ありがとう。ほんと、優は優しすぎ。」と言った。俺はたまたま気の利いた言葉が出てきただけだ。別に優しくなんかない。それとなく、俺は「俺も頑張るよ。」といった後、予鈴がなった

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