第42話エピローグ

「聞いていないようだけれど、ギャラン、貴方は自業自得なのよ。

本来ならもっと前にこの刑は終わり、人としての死を迎える事が出来るはずだったはずだけれど。

早い時点で魔法使いが居なくなったのは予想外だったわね。貴方はもう精神が崩壊し、瘴気を出すまで堕ちてしまった。

これから苦しむことのない完全な死を。

身体は消滅を」


私はそう言うと古代語の詠唱に入る。神の力を借り、精霊の力を借りて肉体も魂も完全な消滅を願う。


先ほどまでの魔法とは違い、空から一点の光がギャランに向かって降り注いでいる。とても温かく柔らかな光。

私達には祝福を受けた時のような幸福感が光から伝わってくる。だが、ギャランにとっては責め苦を味わっているかのように苦しみ始めた。


「手を縄で拘束したら離れて待機だ」


ブラッドローが騎士達に指示をする。騎士達は持っていた拘束具でギャランが動かないように拘束した後、後ろに下がった。


光はギャランに降り注ぎ、ギャランの身体から煙が立ち始めたと同時に砂のように足や手の先が崩れ始めた。


ギャランは抵抗する術もなく崩れ落ちた。空からの光もスッと消え、また元の森に戻った。


「……終わったわ」


私はブラッドローに抱きつく。ブラッドローもギュッと抱きしめ返す。






それから三ヶ月を過ぎたある日。


「ラナ、本当にいいのかい?」

「えぇ、いいわ。けれど、ツィルトン陛下は本当にこれでいいのかしら? 何度も言った通り、本当の魔法使いになるという事は寿命も伸びてしまうのよ? 王妃様の死を看取らねばいけなくなる。これからは自分が師匠になって弟子をとらなければいけない側になるわ?」

「あぁ、この歳でようやく魔法使いになれると思えば、なんてことはないよ。これからこの国は魔法国家になる。そのための知識が今以上に必要になる。ラナとブラッドローが私に与えてくれた知識を広めていかないといけない。これには妻も息子達も賛成してくれている」

「分かったわ。その覚悟があるのなら泉に入って頂戴」


ツィリル陛下は泉に入る。


私は師匠がしてくれたように私も泉に魔力を流し、詠唱する。ブラッドローは私を静かに見守っている。

彼は湧き上がる魔力や精霊の力を感じ取っている様子。光が泉を満たし、彼も光に包まれている。ツィリル陛下は問題なく魔法使いと認められたようだ。


「ツィリル陛下、さようなら。これから頑張ってね」

「ラナ、有難う」


そうして彼は飛ばされていった。きっと飛ばされたのは王宮の自室辺りではないかしら。


ここから彼の魔法使いとしての一歩が始まった。



私はこの千二百年を無駄に生きた訳はない。ギャランが消滅した後、決めていたの。

私の知識をツィリル陛下に託そうと。


そして編み出した魔法円で私の持てる知識を彼の頭に焼き付けた。彼は膨大な知識を自分の物にし、動けるようになるまでに三ヶ月を要した。後はもう大丈夫。


「ブラッド、行きましょうか」

「あぁ、我が妻。この時を待っていた。もう離しはしない」


そうして私達は静かに姿を消した。


後にツィルトン陛下は隠居して魔法使いの育成に励んだ。

生涯で五人の弟子を取った。

そして彼は賢者と呼ばれ、様々な魔法や魔法円、薬など人々が失った知識を広めた。


イーヴォ王太子は早々に国王となり、魔法使いの父を支え、サロメラ魔法国家と名前を変え、初代国王となった。


もちろん彼も魔法使いとなったのは言うまでもない。

イーヴォ国王は子孫にも恵まれ国は更なる繁栄をしていった。


【完】



ーーーーーーーーーーーーーーーー


最後までお読み頂いた勇者方に感謝!!


今回はファンタジーなのか恋愛なのか自分でもカテ分けが出来ずご迷惑をお掛けしました。(´;Д;`)

自分が書きたい物を書いてコツコツ完結を積み上げていく私ですが、毎回読んで下さる読者様には感謝しております。

中にはブクマが少ないからと打ち切る方も多くいらっしゃるようですが、私的には一人でも読んでくれる方がいれば最後までやり抜きたいと思っていつも書いております。


読者の皆様、最後まで読んで下さり感謝感激雨霰です!

最後の最後に……↓の評価を頂けると嬉しくて狂喜乱舞してしまいます。

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魔女首のラナ まるねこ @yukiseri

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