『作文嫌いの🦍が文章を嗜む🦍になるまで』

まぐれを打破するため次の掌編に挑む

　新聞に載ったことで喜びはもちろんですが、ある種の達成感からしばらくは満たされていました。掲載されることを目標としていたので満足したんでしょうね。ただ、一度掲載されると欲と言うものも出ますし、同時にまぐれだったということも頭に浮かびます。

　あるいは、選考者によるお情け。せっかく新しい人が投稿して来たのだから、載せてあげようかという配慮。作品の出来栄えよりも、むしろそっちの方で掲載になったのかと不安が日に日に募って来たりもしましたね。そんな不安を払拭するにはもう一本掲載するしかないと、そこからはことあるごとに掌編に取り組む日々。

　ただ、当時は一作書くのにも苦労しましたからね。ポンポンと書けるわけじゃない。アイデアはなんとなく浮かんでもそれなりのドラマがないとそれこそただの作文です。やっぱり一作に一ヶ月くらい掛けて、それを印刷して封筒に入れて切手を貼って投函って感じでしたね。

　しかし、これが出しても鳴かず飛ばず。次第にいよいよまぐれかお情けかが現実的になって来まして、やや開き直った部分もあったのか、そんな肩の力を抜いて書いた「８時１５分の悪戯」が数カ月ぶりに再掲載。正直これにはビギナーズラックが去ったとホッとしましたね。

　その後、二度あることは三度あるとばかりに、勢いづいてあれこれ執筆して投稿しましたが、低迷期と言うのかヒットの兆しはなし。そんな状態が続いてしまったことや、二度の掲載で満足してしまったこともあるのでしょう。ひとまずはそれで区切りをつけようと、そこからは何年も掌編は書かなくなりました。