いつか紙面にと憧れから小説にチャレンジ

 作詞も手紙やメール、日記に車のレビューや本の感想文も書いた。エッセー形式で10万字を超える自伝も書き上げ、書くことへの抵抗はだいぶ無くなった気がするというか、楽しさすら感じるようになって来ました。


 しかし、そんな私が足を踏み入れていないのが小説の世界で、入り口は目の前にそびえる壁のように私の侵入をおいそれと許してはくれない。そりゃそうだ。素人作文とは領域が違うんですから。それでも小説を書くという響きには独特の重さがありますよね。だからなのか、未だに「小説のようなものを」などと言ってしまいます。


 ただ、時々見かける地元新聞に掲載された掌編小説を見ているうちに、挑戦という意欲が湧いてくるんですよね。イラストも評も付いていますから。自分の書いたものが新聞に出る。そう思っただけでポ~ッとなってしまいます。


 規定では原稿用紙5枚以内。このくらいなら書けるのではないか。そして長年続けた一人称スタイルならばと書き始めたものの、初めてのトライということもあって一ヶ月以上費やしました。これは10万字超えの「交差点に咲く夢」と同じような期間ですから、いかに時間を要したかお分かりいただけるでしょう。


 書き上げた原稿をワープロで印刷して投稿。何か賞に応募するかの緊張感がありましたね。それからしばらくしてです。広げた朝刊に私の小説が掲載されている。身体が宙に浮くようでした。この時はまだ実名。だからより実感が増した気がします。本文はもとより、イラストや評を何度も見返しましたよ。この作品が「線香花火の詩」です。

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