書き物に再着火したのは、あるキャンペーン

 日記もやめた。手紙も終了。詩もどこへやらと、雑誌掲載で満足しきったのか、書き物とはなんぞやってくらいの存在がしばらく続きました。この頃はもっぱら映画三昧って感じだったでしょうか。これで書き物もすべて終了とガスの元栓を閉めようとした時でした。


 借りて来た映画のビデオに「ん?」となりました。それは007の「消されたライセンス」のキャンペーンです。どんなネーミングだったのかは忘れましたが、日常の怒りの体験談を100文字以内で書くというもの。100字くらいなら楽そうだと思ったのがそもそものきっかけ。


 ところがです。この100文字が曲者。句読点まで含まれますから、あっと言う間に130文字くらいになってしまう。それで今度ははしょりすぎると思ったことが描けない。いかにまとめ上げられるかが問われる感じです。


 書いてから文字をイチ、ニ、と数える。まだ多い。これを削って言葉を変えてなんて繰り返し。とりあえず送っては見たものの、ノリで参加したようなものなのですっかり忘れてしまっていました。


 ある日のこと。宅急便のようなものが家に届いた。その頃ネットで何かを買うことも無かったので、何だろうと思ったらそのキャンペーンの景品でした。「怒りの100度賞」に当選したんです。100度賞は20名。景品は007のビデオ15本セット。定価で57,000円相当。これには舞い上がりましたね。


 ガスコンロにチチチ…と、とろ火ながら着火致しました。当時はVHSだったので既にその景品も我が家にはありませんが、書いてみるもんだと思いましたね。

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