文通は書くトレーニングにもなる

 高校は男子校だったので女の子との縁は遠くなるばかり。都合よくギターが彼女だくらいに思って夢中で弾いてましたが、これはもう負け惜しみですね。


 そんな時ふと考えた。文通という響きに憧れもあったのでしょう。文通ならば好きも嫌いもないわけですから、気軽に書けるのではないかと。そして手紙から女性の気持ちとかも伺えて作詞にも役立つのではないかと。


 当時は至る所に文通希望欄なるものがあって、名前どころか住所まできちんと記載されている。プライバシーもなにもあったもんじゃない。そこから選んで手紙を送りました。と言っても返事が来るのか不安にもなりましたね。書きながら緊張もしました。知らない人に初めて送る手紙ですから。


 ただ、作詞と言うのも語学力を上げるのか、割と思っていた以上にペンは進みました。しかし、あまり短いのも素っ気ない。そう思った私は少なくても便せん二枚程度。長いと四、五枚とびっしり文字を連ねました。もちろんたいしたことは書いてないのでしょうが。


 今思えばこれが何かを書くという原点になるのかもしれません。書き上げて読み直す。校正作業ですね。書き直すということはほとんどしませんでしたが、書くことに楽しさを見出した瞬間でもあります。


 書くことが嫌いだったはずの男が意外と筆まめだったことにも気付きました。返事が来るとすぐに書いて投函しましたからね。文も数をこなすことで変わっていくのでしょう。何人目の人かは忘れましたが、読みやすいとか、話が楽しいとか、返事に書いてあったことがあります。


 ほとんどお世辞でしょうが。

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