エピローグ

次の日の二人に置き手紙の残し、スネイクの家をでた。

四天王時代の同僚であり、親友泡沫のスプライトに呼び出されていたからだ。

手紙に記された場所に私が到着すると声が聞こえた。

「久しぶりねコーラ…」

スプライトは以前と変わらない姿だった。

最後に会ったのは三十年位まえだったか、親友がかつての姿と美しさを保っているのが嬉しく感じる。

私は腹をくくる、情報方は筒抜けだからな全て正直に言おう。

「勇者に情が移り殺す事ができなかった、村から逃げ女神の手から遠ざけはしたが使命を果たしたとは言えない」

「……」

スプライトは黙って聞いている、自分の情報と照らしあわせているのだろう。

「女神は勇者を失敗作と判断とし刺客を放った、使えないと判断されたのだ、どうか私の命と引き換えに見逃してもらえないだろうか?」

私は頭を下げる、スプライトは魔王四天王だ、彼女が進言してくれれば魔王様の御心は動くだろう。

「私が判断することじゃない」

「そこを何とか!」

私は親友に食い下がった、長年共に暮らし本当の息子様に思っている、だからこそ彼女の呼び出しに応じたのだ、彼が命を狙われないようにし、人並みの幸せを得られるようにするために。

「そもそも……勇者は断頭台のメアリーに殺害されてる、貴方は魔王様にそう報告すればいい」

「スプライト……」

「メアリーは勇者殺害後、パーティーメンバーの魔術師の火炎呪文で焼死した。」

スプライトは悪い笑み浮かべ。

「遺体を調べたけど凄い火傷だったわ、炎は痛覚神経を焼き切っていた……本人は痛みを感じて無かったでしょ?」

そうだったのか?精神が肉体を超えるとかではなく、神経が駄目になるほどのダメージを……

「奴は炎信仰により高い耐火性を持っていた、並の人間なら即死だったでしょう」

鍛冶屋である、メアリーは女神ではなく、この世の理、その中でも炎を信仰してたのか。

「詳しいようだけど?メアリーって魔族にも有名だったのか?」

彼女はため息をつく。

「魔王様から討伐命令が出ていたの……」

いやいや、何やったら討伐対象者になるんだよ、異常に強かったけどさ。

「魔王軍のオーク部隊がほぼ全滅、メアリーの方から襲ったらしい、中距離からの即死の呪い、しかも近距戦闘も強い…問題になったわ」

人間の女がオークを襲う?普通逆だろ?

「そ、そうか」

「それで、このまま魔王様に報告に行っていいのね?」

私は頷く、二人には手紙を残した、その中で私が魔王軍四天王鬼女コーラであったこと、ディーノが女神によって作られた勇者であること、私が今まで秘密にしていた事を全てしるした。

「心残りがあるとすれば借りを返せなかった事かな……」

産休の時の借りを返して無いことを思い出す。

「そういやスプライト、私が居ない間に結婚とかは?」

「ペッパー君の気持ちを受け入れたわ、彼と婚約したの…」

六男のペッパーだと!三十年前にスプライトと結婚したいって言っていたが、私が居なくなったあとも口説いてたのか……

「二人で決めた事だ、異論はない…愚息を頼むよ……」

スプライトは微笑みながら私に答える。

「貴方の息子達は全員立派に育ったわ……死んだ勇者も含めてね…」 

「そう言ってくれるか…そうだよ自慢の息子達だ…」

私は涙を流し親友に答えるのだった。







                   完

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憧れのお姉さんに告白するも「前世で六人息子がいて、お前は七人目の息子の様なもんなんだ」と言われた件 シノヤ @sinotuka

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