第7話死闘
新たな生か……
動機は理解できる、賢人達の知識を受け継いだ時、彼女自身の生は終わってしまったのだ。
過程を飛ばして結果のみを彼女受け継いだ、その過程で得られたはずの成功や失敗の体験、喜びや苦しさ、若さ故の過ち……
「事情は解った……だがこいつは息子も同然だ殺らせない!!」
「姉さん……」
ディーノが私を庇うように立つ。
「マーシャと逃げてくれ俺が戦う」
「なっ!奴は狂人だ無理だ!」
「勇者とか解んないけど、もう、充分守ってもらったから!」
「ははは、よく言った少年!こちらも出し惜しみはなしでいく!」
メアリーは狂気の笑みを浮かべ、ウエルトポーチから金属のボトルを出し、中身を一気にの干す。
ああ……脳天に響くな……
私がさっき飲んだのは脳のリミッターを外して反応速度をあげる薬、効果時間は短いが強力なものだ。
私はギロチンで斬りかかる。
二回打ち込むが剣で弾かれた、かなり剣の研鑽を
しているな……
だが私は負けない、ウェポンスミス達から受け継いだ、研究と理論がある、武器を製造、売るには武器の構造と使用法を理解しなければならない。
私は武器研究と理論により大概の武器を使いこなせる、そして元から両手斧の才能があった。
ギロチンを手にしてから敗北をしたことはない。
『武器を破壊するルートが見えない?』
よく手入れされた武器であっても、数度打ち込めば破壊する工程が見えるはずが、破壊までの回数がわからない。
『姉さんとの特訓が役に立った』
ディーノは戦場で剣を折られないように、コカから剣でメイスを受け流す特訓を受けていた。
巧みに威力を受け流す、メアリーの斬撃はまさに嵐、大型の武器であるギロチンを振り回す。
「ぐっ!」
ディーノの剣が彼女の肩をかすった。
「こんな小僧が!私の!私達の理論をこえるというの!!」
「ディーノ……強くなったな…」
コカはディーノの成長に感心した、もう、自分がついてなくても平気だ…。
「動きが早くて援護できませんね…」
「必要ないよマーシャ……勝つのはディーノさ」
メアリーの動作が鈍くなる、薬の効果が切れたのだ。
「これで終わりだ!」
ディーノの剣が光を帯びる、闘気による強化!
「何だと……」
メアリーが呟く見えたのだ。
ギロチンが砕け散る工程が、自身が敗北するルートが!
ディーノの剣を受け止めた、ギロチンに罅が入る、彼女が見た工程の通り……
『相手の如何なる…武器をも破壊してきた
……私のギロチンが破壊された?』
ギロチンは砕け散り、メアリーの体も斬られる、彼女は仰向けに地面に倒れた。
致命傷だ、夥しい血が地を赤く染める。
ディーノは断頭台のメアリーに勝利したのだ。
ああ……これで良かったのかもね
私は勇者にギロチンを打ち砕かれ敗北すると不思議と穏やかな気持になった。
人を殺してまで人生をやり直したかったのに、死を前に冷静になれたのかな。
彼らが近づいてくる生死の確認だろうか……
「もうすぐ死ぬ、君の剣を汚す事もない」
これ程の使い手に倒されたのだ、血塗れの私には過ぎた最期だ。
「アルバス……」
「私が…アルバスというは秘密に……」
私はマーシャに勝手な願いを言う、私の正体を知らないで憧れる職人志望の者、酒器を愛用してくれる人達を失望させたくなかった。
「ばか、誰も信じないわよ、名工アルバスの正体が断頭台のメアリーだなんて…」
「ありがとう……君と飲んだ酒は美味かったよ…」
それが彼女の最期の言葉だった。
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