第2話これからの事
次の日の朝ディーノが寝ている内に宿をでる、朝食をとるため広場に向かう。
この街の広場には屋台が幾つがあり、夜勤あけの兵士や独身の男達などが朝食をたべている。
私は屋台で炭酸水と肉入りのパンを買うと席につく。
「赤ワインデキャンタと鴨一つね」
ふと目をやると女魔術師が朝からワインと鴨を頼んでいた、仕事あけだろうか?
自分も朝飲みしようかな……休みだし……
『いや、駄目だこれからの事を考えないと!』
ディーノと一夜を過し、自分は悩んでいた。
結論から言うと私とディーノは添い遂げる事は出来ない、私自身の問題で遠からず別れる事になる。
『早く一人で生きていける漢にしないと…』
二年前に前世を思いだしてから彼を鍛えている、その為の旅、勇者とう兵器として使い潰される運命を阻止する、それが私の願いだった。
――覚醒前に勇者を殺せ
私の転生理由、私は自分の使命に背いている、彼を愛してしまったからだ。
勇者自体にならなくても、私は裏切りの代償を払わなければならない。
さて、予定は変わったがディーノが女を知らずに死ぬということはなくなった。
あとは私が居なくあったあとのことだ、勇者の資質を持つディーノは強いがソロでやっていくにはきつい。
『新メンバーを募集して三人パーティー、ゆくゆくはディーノとのペアも可能な人材か……』
ディーノも私も前衛、必要なのは後衛だ、回復士か魔術師、いっそ錬金術師でもいいなポーション制作やアイテムでのサポートを受けられる。
暫く考えたあとポンと手を叩く。
「魔術師と組んで殺られる前にやろう!」
コカは単純だった。
私は一度宿にもどりディーノの部屋を訪ねる、昨晩の事を思い出して居るのか彼の顔がやや紅い。
「――ディーノ、昨日は思いに応えたが……ああいった事はもう無しだ」
うっ…、そんな顔で見ないで!私がやり捨てたみたいじゃないか。
「私が問題を抱えていて、一箇所に定住できない、そんな状態では恋愛とか考えられないんだよ」
「わかったよ」
一瞬解ってくれたと安堵するも。
「俺が問題を解決できる程強くなるよ!!」
そうじゃない、私を諦めて他の女と結ばれて欲しいんだよ。
「ああ…話は代わるが、うちら二人前衛だろ?後衛に魔術師を入れようと思ういいな?」
ディーノに了承を得るとギルドに向かう。
まず、ギルドの募集掲示板に目をやる、駄目だな、魔術師も回復師も若い人がいない。
私が抜けたあとディーノと長く組んで欲しい、だから若い人が好ましい。
ダメ元でギルドの受付嬢に聞いてみる。
「ソロで活動してる、フリーの若い魔術師いないかな?」
「一人だけ居ますよ……」
「何歳の人?紹介してほしいんだけど?」
受付嬢は難色を示す、やはり魔術師でソロとか人格に問題があるのか?
「悪い人ではないのですが……お酒が好きすぎて、アル中の魔術師って呼ばれてるんですよ」
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