第7話 悪役貴族の末路


 俺たちに気づいた魔族は、こちらを凝視してくる。


「あ~。もしかしてこの先へ行きたいと思っていますか?」

「……」

「まあ言わなくても分かりますよ。ですが、こちらにも事情がありますので通させませんよ」


 アリアが魔法を唱え始めていたため、俺も剣を抜く。


「おとなしく引いてくれませんか」


 そう言いながら、魔族も魔法を唱え始める。それと同時に俺もイフリートから力を借りると、魔族の魔法が途切れた。


「え!? あなたはもしかして」


 魔族がつぶやいた瞬間、アリアの浄化魔法が魔族へ放たれた。


 もろに受けてしまう魔族は傷だらけになるが、尚驚いている様子であった。


「なぜ、魔王候補であるあなたが聖女と手を組んでいるのですか?」

「さぁ」


 まず、順序が違う。魔王候補になってからアリアと手を組んだわけではなく、アリアと手を組んでから魔王候補になったのだから。


「こんなことして、魔王様が黙ってはいませんよ」

「そんなの、俺には関係ない」


 俺はイフリートの力を使い、魔族の首を切り落とした。


「アリア、先へ進もう」

「う、うん」


 俺とアリアは王室の中へ入ると、アリアの兄が国王を殺そうとしているところであった。


「お父様!!」

「アリア、逃げなさい」

「嫌」


 国王を刺し殺そうとしている間にアリアが入ろうとしたため、俺は今出せる最大限の力を出して、仲裁に入る。


 その瞬間、国王ではなく、俺の腹部に剣が突き刺さった。


「あぁ……」


 俺はアリアの兄の首を切り落とした。すると、イフリートが問いかけてくる。


「お前の結末は、結局これなんだな」

「え?」


 アリアが国王と兄の元へ駆け寄り、俺が一人取り残されて地面に倒れる。それと同時に一人の男性が王室へ入ってきた。


(あ~。こういうことか)


 俺はゲーム世界のシナリオ通りに死ぬってことなのか。


 俺が知っている知識では、ゲームが始まった時にはアリアと勇者が手を組んで冒険を始めるところ。


 その際、魔王候補を倒した勇者という設定であった。それは俺が殺されることで得た称号だったんだな。


 男性は俺の首を切り落とそうとした。その瞬間、アリアが叫ぶ。


「ダメ!!」


 だが、トドメを刺そうとした瞬間で、止めることもできず俺は首を落とされた。


 この後、俺を殺した男性が勇者と言われ、ゲーム世界の序章が始まっていった。


 ストーリーが少し変わったと言えば、アリアと勇者の中があまりよくない状態で始まったことぐらい。



 ゲーム世界に転生したが、知識がない序盤に転生してしまった世界線はいかがでしたか?


 少しでも楽しかったと思っていただけましたら、幸いです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪役貴族に転生した俺は悪魔と契約して魔王になる~聖女である王女を助けたら、魔王候補がバレてしまった・・・ 煙雨 @dai-612

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ