第6話 魔族との遭遇
「イフリート、力をかせ」
「わかっている」
イフリートは言われるがまま、俺の剣に魔法を付与した。
(早くけりをつけなくちゃだな)
ここで力を使いすぎるわけにはいかない。そう思っていると、モンスターが俺たちへ攻撃を仕掛けてくる。
(やっぱり、この力を使っていると相手の動きが遅く見えるな)
原理がどうなっているかはわからないが、おおよそ自身が使える限界を超えている状態とかなんだろう。
モンスターの攻撃を軽く避けて、首元を切り落として倒す。
「やっぱり、この力は強いな」
実際に使ってみてわかるが、イフリートの力は異常なほど強い。今まで勝てなかった相手に対しても、圧倒できるほどだ。
俺がそう思っていると、アリアがこちらへ近寄って来た。
「もう、イフリートの力を使いこなしているね」
「いんや、使いこなしてなんかいない」
「え?」
「ダイラルが使っている力は、俺の一部でしかない。こんなもんで使いこなしていると思われるのは侵害だ」
「ごめんなさい」
(これが、力のほんの一部......)
それを聞いた瞬間、高揚感と共に恐怖も感じた。
「それで、ここにいるのはイフリートの仲間なのか?」
「違うな、こんな幼稚なことをする意味がない」
「幼稚?」
「あぁ。ここまでやるなら、ミスは確実にしない。それが俺たちのやり方だ」
(俺たち?)
イフリートの言葉に疑問が残ったが、今は目の前のことに集中する。
「アリア、国王はどこにいるんだ?」
「お父様は最上階の王室にいるわ」
「急ごう」
「うん」
俺とアリアは先へ進んだ行くと、数人の騎士と出くわすし、一番偉そうな人が話し始める。
「アリア様?」
「そこを退いて」
「それはできません。どうか引いてください。見なかったことにいたしますので」
この人は、エリバとは違うんだな。
この人には、アリアを大切にしたいという気持ちが残っている。
見なかったことにするなんて普通は言えない。もし、このことがバレたら殺されるのは明確なのだから。
だか、それを承知でこの人は発言をしている。つまり、それはアリアのことが大切であるってこと。
「力尽くで行くまでよ」
アリアはそう言って突っ込んでいったため、俺は援護する形を取る。
(やっぱり、強い)
エリバほどとは言わないまでも、そこら辺にいる騎士たちより数段強い。
(だけど、俺はこの人を殺さなくない)
この人は戦いたくて戦っているわけではない。なら、別の方法はないのか。
(あ!!)
俺はすぐさまイフリートの力を借りる。だけど、火の力は使わない。
イフリートの力を使えば、自身の限界を越えることができる。つまりそれは、火の力を使わずとも相手を倒せると言うこと。
「アリア、変わるよ」
「う、うん」
俺は騎士たちを一人ずつ気絶させていき、アリアを気にしていた騎士が最後に残った。
「お前は何者なんだ?」
「アリアの友達」
俺はそう言って、目の前の人を気絶させた。
「ありがと」
「何が?」
「殺さないようにしてくれたでしょ?」
「あー、まぁ」
(見透かされていたか)
その後、道中で何度か騎士やモンスターと出くわしたが、難なく先へ進むことができた。
そして、やっと王室の目の前に辿り着いた時、そこには一人の魔族が立っていた。
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