第16話 魔女様に質問 色園の地図編
魔女様と一緒にテーブルに置かれた地図を一緒に見る。
「お前はここが深海色の樹海であることは覚えているね」
「はい、覚えています」
魔女様が広げた地図はやはり地球とは異なった形をしていた。しかし、北半球と言っても問題はないだろうか。北西に翼のような形をしている大陸と、帯を重ねたような大陸と、その下にヒールの靴みたいな大きな大陸が二つある。
他にもいくつか小島やもあるが、後は泡や髑髏を彷彿とさせる大陸もあるが……強いて目に付くなら、地図の中央に上下に指輪が重なっているような大陸が少し気になる。
その周りに円があるように見えるけど……これはいったいなんなんだろう。
「大陸の名前は聞きたいかい」
「あ、はい。全部教えていただいてもらってもいいですか」
「
「……えっと、ちょっと待ってください。魔女様、ペンと紙とかはありますか?」
「どうするんだい」
「えっと、考えをまとめたいのでできれば貸してもらえるとありがたいです」
「いいだろう、そら、使いな」
ウィレムは、考えをまとめるために顎に手を当てながらペンを走らせていく。
……この世界はカラーエデンズ、虹色の楽園。
まず私がいた土地の名前は深海色の樹海。どこの国がどういう色の系統かまでは把握していないけど色を名付けることが多いと考えるのが普通。ということは、この世界の大陸はきっとそれぞれの虹の色を指しているはずだと推察するべき。
つまり、
赤はセキ、橙はトウ、黄はオウ、緑はリョク、藍はラン、紫はシ、最後のコウはおそらく虹……になるってことか。
ん? だったらおかしいところが一つある。
「魔女様、どうして
ペンを止めてから魔女様に聞くと、呆れたように頭を抱えて溜息をついた。
「馬鹿な子だね、お前は海を土地だと言いたいのかい」
「え? いや、それは当たり前だとは思いますけど……青がどうして大陸の名前に入っていないのかが気になって」
「簡単な話さ、この世界は何色と口にするのが当たり前、海の色も何色と言ったりすることは当然ある……けど、基本的に海は何色なんだい」
「海は青色……あ、そういうことですか!? え、でもじゃあ
「それはそれぞれ土地の説明をしてから言うよ、すぐじゃ頭に入らないだろう。そうさね、まず一番左上の大陸から一つずつ言うよ」
「お願いします」
魔女様は一番北北西にある翼の形をした大陸を指差した。
「まず、この大陸は
「私と似たような見た目の人たち、って意味ですよね」
「そう、そしてアタシたちがいる大陸でもあるよ、基本的にこの大陸の名前は緑が多い」
「あれ? じゃあ、なんで深海色の樹海だけ深海色なんですか?」
「昔は海の中にあったというのがそれに由来しているね。まあ、緑大陸の土地や国の中では一番珍しい土地ではあるよ」
「そうなんですか……」
「次に、北にある三日月のようなのが
つまり、私がいた地球で言う日本人や各国の新婚さんならハワイ旅行、みたいな感じで客が来日することが多い大陸ってことか。そういう大陸もあるんだな……男として育て上げられてきた自分としてはあんまり興味が湧かないけど。
「次にカラーエデンズでは一番大きい大陸の
「結構大きいですよね、下の方も大きいですけど……?」
「そっちは
「うわぁー……すごいですね」
「ここにも人族もいるが、アタシは行こうと言われても絶対行かないね」
「魔女様は暑いところは苦手なんですか?」
「ああ、大嫌いと言ってもいいくらいだよ」
あはは、魔女様、食事している時も猫舌なのか、暑いスープを飲むのに時間かかっていたもんな。魔女様は私の心を読んだのか、無表情なだけかもしれないけど怒っているように見えた。
「何か言いたそうだね」
「い、いえ! 何も」
「そして、南西にある泡みたいな大陸が
「ファーブラ……?」
「ああ、お前の世界で言う神話上の存在だね、アンタたちの世界風に言うなら、吸血鬼、悪魔、幽霊なんかが多い大陸さ」
「なんだか、ハロウィンチックな大陸ですね」
「はろうぃん……? なんだい、それは」
「あ、えっとまた今度魔女様に教えますね、今はそれよりも大陸のことが知りたいです」
「……まあ、いいさ。続けるよ」
魔女様が不思議そうに見てきたけど、もし教えるならそういう季節になってからにしよう。でも、人がいない大陸もあるんだな。
じゃあ、この大陸得られるのは怪談系とかの話になってしまうのかな。
「そして、最後の西の髑髏みたいなのが
「
「まあね、そして最後に――――」
魔女様は地図の中央を指差した。
「中央にある大陸が
「虹色の連合国もここにあるんですか?」
「そうだね、それにこの世界の中央国であり首都だから、当然と言えば当然さ」
うーん、他にも各国の都市のことを覚えていかなくちゃいけないんだろうけど、でも、覚えることは好きな方だからなんとかなるかな。
「さ、大陸のことはこれで全部話したよ」
「ありがとうございます、記憶力には自信があるので、なんとかなるかと思います」
「そうかい」
魔女様は地図を魔法で閉じると、棚の所に置かれた。
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