第15話 魔女様に質問 魔法石の価値編
「それで、一体何を聞きに来たんだい」
「あ、その……先に別の質問をしてもいいですか」
魔女様は無表情で、少し怖いと思ってしまう。
顔立ちが綺麗な顔なのもあるとは思うけど、貫禄がある。
私は魔女様にシェイレブさんとも話していた熄香草のことを聞いた。
「
「ああ、火をつけてやると匂いがそれに近い、というだけの話さ」
「匂い……」
「
「例えば、どういうものに使われたりするんですか?」
「熄香草はタバコって奴か、それか香水に使われることが主なのさ」
「それって、もしかして……私の香水を作る材料にも含まれていますか」
「頭が悪くない子は嫌いじゃないよ、つまりはそういうことだね……それが一番に聞きたかった話なのかい」
「いえ、その魔女様は私がシェイレブさんとシェラードさんと話していたこと、知っていらっしゃいます、よね」
「当たり前だろう、この屋敷は私の体の一部だからね。知らないことなんてないのさ」
「そう、ですか……」
本来なら、魔女様に向かって言うべきことだったのに、なんだか申し訳ないなって思ってしまう。
「それで、お前は何を一番聞きたかったんだい」
「あ、はい。まずこの世界でのお金の単位などが知りたいです。この世界の地図なども見られたらもっといいのですが……できれば、紙の量産方法も」
「……お金の単位にこの世界の地図に紙の量産方法、ねぇ」
魔女様は顎に手を当てて少し考え込む。
難しいことを言ってしまったかな。でも、これから大事なことなんだしここは教わってもらわないと後で痛い目を見るのは目に見えてる。
「だったらまず、金に関しては基本的に物々交換だからないよ」
「え!? そうなんですか!?」
「もし金とやらがあるなら、紙でしっかり値段のことを書いておかないとおかしいだろうさ」
「あ、確かに……」
そうだよな。この世界って紙が普及してないわけじゃないけど、主流と言うわけじゃない。
お金とかがあるなら、計算とかするので必要になるからないって意味なんだ。
「強いていうなら、魔法石が主に金の代わりとして扱われているね」
「魔法石……? って、なんなんですか?」
「魔法の力がこもった石のことさ、色は様々だから魔法が使えない住民がたまにアクセサリーにしてしまうことがあるが、大きさよりも魔力量で判断しているね」
「魔力量って、私じゃなくても見えますか?」
「際に見たらわかるだろうさ」
魔女様はテーブルにいくつかの宝石が並べられる。
一つは紫、緑、青、赤、黄、の五つ。
黄色の魔法石が一番大きく、緑、青、赤、黄色の順番で段々と小さくなっている。
「じっと見てみな」
「は、はい……」
私は目をよく凝らして、魔法石を見比べる。
じーっと見続けて集中すると、紫色の宝石が内側から泡のような光が見えた。
しかも、黄色の魔法石は全然見えないのに、段々大きい順番に合わせて光の量が全然違う。
「え!? こ、これって……」
「お前はどれが一番眩しく見えたんだい」
「紫の魔法石の方です」
「当然だね、こっちはアタシが持ってる物の中で一番高純度の魔力量を誇ってる。客がたまに欲しがるが絶対売るつもりはないけどね」
魔女様はそういうと、魔法石に杖を向けるとふっと魔法石が跡形もなく姿を消した。
「どうして高純度の物は見えるんでしょう? 普通、高純度の魔法石の方が見えないと思うのですが……」
「単純さ、空から降ってくる雪と自分に向かって来る雪玉、どっちが認識しやすい?」
「……大きい雪玉、です」
「そうだ、お前たちに余所者にとって危機を感じる物は過敏になる性質がある、ということは、だ」
つん、と魔女様は一番でかい魔法石を突く。
呼応するように、魔法石の光はゆらゆらと輝いている。
私は口元に手を当てながら、魔女様の意図を考察した。
「……つまり、低純度の物は私みたいな魔力を持たない人間には見えない、ってことですね。余所者の私に対して危機がないから」
「それで合ってるよ、この世界での魔法石の価値はわかったかい?」
「はいっ」
「じゃあこの世界の地図とやらを見てみるかい?」
「お願いします!」
私は魔女様に強く宣言すると、溜息を吐きながらテーブルに地図を広げてくれた。
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