第14話 東棟へ!
私とシェイレブさんは西棟にいる魔女様の元まで向かった。扉を開けると、魔女様が大釜でぐつぐつと何か薬か何かを作っている最中のようだ。
テーブルにはいくつもの薬品が並んでいる。
もしかしたら、錬金術とかで何かを作っている最中なのかもしれないけど……?
すると、シェイレブさんがドアノブを握って扉を開けた。
「魔女様ーただい――――――いっだぁ!!」
先にシェイレブさmmが先陣を切ると、魔女様の魔法の白い拳にまた殴られた。
魔女様は呆れたように視線をシェイレブさんに向ける。
シェイレブさんは
「いってぇよ魔女様ー! 俺の頭本当に馬鹿になったらどうすんの!?」
「お前がノックもなしに来るからだろうがバカタレ」
「ノックしても気づいてくれない時があるんだからお相子じゃん!」
「で、お前さんは何か言うことはないのかい」
「え?」
魔女様は顎をくいっと一度上げた。この状況ではさすがに私も何も言えなくて、言葉を迷っていると魔女様が声をかけてくれた。
「あ、その……ま、魔女様……薬草を摘み終えました」
「どれぐらい摘んできたんだい」
「えっと、熄香草とハーブ、薬草を少々になります」
私は魔女様の元まで歩いて行き、薬草の入った袋を手渡した。
魔女様は、ん、と言って私の頭を撫でる。
「最初のおつかいにしてはよくできたじゃないか」
「ま、魔女様? どうして……?」
細身の指先がなぜかとても温かく感じた。
きっと魔女様の撫で方の手つきが、優しいからなんだと思う。
「お前さんは手伝ってくれたんだから、礼は言うさ」
「あ、ありがとうございます……」
「あー稚魚ちゃんだけ褒められるのずるーい! 俺もしっかりやったんだかんなー!?」
「今回はめんどくさがらなかったんだねシェーレ、袋の中に別々の袋で分けてあるじゃないか」
「もっと褒めて? 魔女様ー」
「だったら、継続しな」
「えー? でも、大事な時にはしっかりしてんじゃん? それくらい認めてくれたってー」
ぴしゃりと魔女様の言葉に不満そうにシェイレブさんは口をすぼめる。
「……ったく、この馬鹿弟子が、お灸をすえないとわからないかい?」
「ごめんってぇ! だって飽きちゃう時は飽きるんだからしかたねえじゃん!」
「ごめんで済むならルールイーズはいらないんだよ」
ゴゴゴゴゴゴ、と手に杖を構えて漫画にありそうなオノマトペが思い浮かばせる魔女様にシェイレブさんが怯えている。
私は空気を変えるため、というより自分の疑問を魔女様に聞く。
「ルールイーズ……って、なんですか?」
「カラーエデンズの警察だよ、この世界で各国にいる組織だね」
「……警察、ですか」
質問を答えたのは魔女様だった。
この世界にも警察、なんているんだ。
結構危険なことが多いなら、そういう存在はいてもおかしくない……のかな。
ウィレムはその言葉を聞いて自分は安堵した。
「ほら、さっさと晩御飯作りに行きなシェーレ」
「忘れてたぁ、稚魚ちゃんも行こ?」
「あ、えっと……その、私は」
ちらっと魔女様の方を見ると、魔女様はシェイレブさんに向かって言った。
「シェーレ、お前はシェーラと一緒に作ってきな」
「……はーい、それじゃ稚魚ちゃんまた後でね」
頭を抑えながら、立ち上がったシェイレブさんは何も聞かずに去っていった。
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