うつ病を発症した筆者が、現在のパートナーとの出会いの経緯、結婚した後にどのような生活を送ったかなどを書き記したエッセイ。
うつの症状やその時に陥った思考などを具体的に描いており、苦しさ、苦労が伝わってくる。
読んでみて分かったのは、うつ病にはこう対処すればいいというような一律な解決策などないということだ。心は個人によって違っており、何をして欲しいか、あるいはして欲しくないのか、正解は人によって違う。パートナー同士で、日頃からその事について話し合わなければ、どうケアすれば良いのかも分からなくなる。
様々な軋轢を経た後、筆者とその夫が下した結論は、お互いに支えあわない、というものだった。
丁寧にケアすれば、献身的に支えれば何とかなるというほどうつ病は単純ではない。
気持ちだけで解決策が見い出せるものではないのだ。
努力だけではどうにもならないと感じた時には、訪問看護などの支援に頼ることも大事だ。
そんな貴重な知見を得られる文章であり、身近にうつ病を発症している人がいる方、自分がうつではないかと思う方には一読してみて欲しいと思った。