第3話ヤキモチ

我らが大口高等学校弓道部のキャプテンは長谷川亮。

中学1年から弓道部に所属しているので、キャリア5年の2段である。高校生は3段まで取得出来るが、長谷川は3段を目指していない。

実技と学科試験があるが、弓道協会の資金集めに過ぎないので、高い昇段試験料を支払えば、余程の失敗か、バカじゃなけりゃ誰でも受かる。

一射目と二射目を甲矢と乙矢と言うが、3段以上の昇段試験は甲矢を当てなくてはならない。乙矢が当たっても落っこちる。

だから、団体戦でも個人戦でも甲矢が勝負なのだ。

団体戦は4射を2回と2射を1回。合計10射で勝負する。しかし、地区大会となると鹿児島県内の高等学校が集まる訳だから、朝の9時から試合が始り、終わるのは夕方まで掛かる長期戦。

この高等学校も、地区大会に出る。

長谷川は後輩の男女、もちろん2年の女子も指導する。


長谷川は、巨乳の西村の正面に立ち、巻き藁用の矢を指示棒にして、

「はいっ、左は押すだけ。握らない。よ〜くタメて、あっ、矢は口角に合わせて〜」


パンッ!


「やった、当たった!」

「西村さん。弓は握らないの。じゃないと、弓返り出来ないからね。ただ、添えるだけ」

「ありがとう、長谷川君」

と、西村ははしゃいでいた。


「なぁ〜部長!俺の型も見てくれよ〜」

そう言ったのは、福田だった。

「いいよ」

福田は、弓を引く。右肩が下がっている。

弓道は弓を左手で添える様にして、右腕で弦を引かねばならない。だから、初心者はあまりに右腕を引くので、右肩が下がる。長谷川は右肘を矢で上げる様に指し棒を上げたが、絶えられず、矢を放った。

矢は、場外に飛ばない様に設置してある網に突き刺さり、風に揺られてブラブラしていた。

「部長、ちゃんと言ってくれなきゃ困るよ!」 

「福田の右肩が下がり過ぎを、この矢で示したじゃねぇか!」 

「おいっ、福田。そんな事ばっか言うから上手くなれないんだよ!」

と、近くいた森田が言った。森田が男子を指導した。

長谷川は、女子を指導することになった。

1年の女子がタメに入る。

指し棒でお腹の下付近を指して、

「そうそう、丹田に力を入れてっ!」


パンッ!


「やった!私も当たりました。ありがとうございます。キャプテン」 

その様子を中野が羨ましそうに、かっぱえびせんを食べながら見ていた。


すると、2年女子の竹内が胸当てを外して、ジュースを飲みながら休憩していた。

すると、乱れた袴からミルクタンクの谷間が見えた。直ぐに福田に耳打ちした。

福田と中野は弦の手入れと称し、竹内のミルクタンクを眺めていた。


「長谷川だけいい思いしやがって」

「全く、その通りだ。福ちゃん。明日は僕らが女子を指導しよう」

「そうだな。中野君。オレ等はその資格がある」


明日の部活が楽しみな、今日この頃。

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僕らの青春時代 羽弦トリス @September-0919

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