現代日本を舞台に新たに紡がれるかわいい神話

妖を討伐する一族の筆頭は中学1年生の女の子!

さすがに無理だろ……と一瞬思いましたが無理じゃありませんでした。一族の中でも飛び抜けた力をもっている八早月(やよい)は、一族が束になっても敵わないほど飛び抜けた能力の持ち主です。しかも中学一年生。

村のみんなには敬われ尊重されている。とはいえ同年代の友人はいない。強すぎて同じ能力を持つ者たちにも畏れられている。父親との関係も冷めています。対等な者がおらず年相応に甘えることも許されない孤独を抱えているのに、それが普通で当然だと思ってしまっている主人公像は魅力的でした。

そんなぶっとんだ子が中学進学とともに村の外に出ます。同年代の友人たちに出会い、年相応の普通の日常を知っていく。普通の日常の中に受け入れられていく。優しさに溢れた日常をじっくりと描いており読むうちにじんわりと心が温まりました。

八岐大蛇をはじめとする日本神話を現代に落とし込んだ緻密な設定もみごとです。日本のどこかに実在していそうと思ったほどです。

面白い作品をありがとうございます。