第2話 にこにこぷん
世代の違う人と話す時、あの頃のNHKの話に花咲くことがある。私の「お母さんといっしょ」は、じゃじゃ丸、ピッコロ、ポロリだった。
ペンギンのピッコロがドッピョン!と行って飛んで着地すると隣の二人がひっくり返る。このくだりが大好きだった。今思えば、ダチョウ倶楽部なのでは、と思うが可愛らしい声で怒るピッコロがたまらなかった。麦わら帽子にピンクのサスペンダー。キャラデザも天才的だ。
ピッコロだけではない。ポロリもねずみなのにピーマン嫌いで海賊の末裔だ。キャラが強い。でも、じゃじゃ丸の事はほとんど覚えていない。最推しだった気がするのに。
加齢ってほんと怖い。
車で30分の隣の市にある大きめなスーパーに時計屋があった。その店にはカセットも販売されていた。そこで、にこにこぷんのカセットに出会ってしまったのだ。
姉と二人で母に強請ってにこにこぷんカセットを無事、手に入れたのだ。
今の若者は知らないだろうが、カセットテープにボイスドラマと歌が入っている子どもには堪らない神アイテムなのだ。
ほとんど、うろ覚えなのだがオープニングで3人が出会い、かぼちゃのスープの歌やアイスクリームの歌を歌う。何だかんだ冒険してエンディングで、母が恋しくなり3人がおのおの、ママー!おかーさーんー!と叫ぶのだ。
じゃじゃ丸はべらんめぇみたいな(どんなだ)しゃべり方をするので、ややしゃがれた肝付兼太さんの声で「かあちゃーん」と叫ぶと哀愁が、ただよっていた。これが子ども心にとてつもなく刺さる。
エンディングで3人がお母さんと叫ぶことで「おかあさんといっしょ」というタイトルを回収しているなんて。
そもそも、おかあさんといっしょでお母さんが一緒だった事はない。
私が目にした事がないだけかもしれないが基本ともだちといっしょだ。どういうことだ。
今、気付いてはいけない事にきづいてしまった。あの3人が母親に再会する日は来るのだろうか。
もう聞き返すことはないあのカセットテープ。彼らが母親の元に帰れていたらいいなと思う。
私の人生振り返る。 ココ丸 @karupisu17
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