第13話 それはきっと素敵な生き方で
食料袋をかついで西の岬まで戻ってくると、時刻はもう夕方近くなっていた。
シシールときたら、俺が戻ってもまだグウグウ寝ているじゃないか。
うんうん、海風のよく通る草むらが彼女の寝床か。
大の字になって気持ちよさそう、気楽なもんだ。
俺が持参したのはイノシシの塩漬け肉と、イカの一夜干し。なんと、苦労して手に入れた蜂の巣まである。天然の蜜ロウは下手なクッキー顔負けの美味さで、口の中でとろけるのだ。
温めて食べた方が美味しいだろうし、前のキャンプ地へ捨てていった
無人島生活の初日は、焚火を燃やす程度で泣くような思いをしたっけ。
今じゃ もうスッカリ手慣れたものだ。
ほんの十分とかからず火を起こし、木の棒に差した塩漬け肉をあぶり始める。
イカの一夜干しも焦げない程度に火へ寄せておこう。
空腹を刺激する匂いが鼻についたのか、やがてシシールが目を覚ました。
おはよう、キャプテン。美味しい物がそろってますぜ。
眠気マナコを擦りながらシシールがうめく。
「ああ、腹減った。変身後はいつも二日酔いよろしく頭がガンガン鳴るし、やたら腹が減る……」
「さぁ、食べてよ。アンリお手製の貴重な食料だ」
「アンリ? ああ、お前の女か。コカトリスのお返しをされなければ良いが」
「アンリがそんなことするかい!」
アブラの汁がしたたる棒付き肉。
その香ばしさに我を忘れたのか、シシールは俺が差し出した肉を受け取りもせずそのまま食らいついた。ビチャビチャと肉汁が飛び散るもおかまいなしだ。
おいおい、差し出された木の棒ではなく、俺の腕をつかんで動かせぬように固定しているよ。野良犬のような上品さでたちどころにガツガツと肉をたいらげると、棒に残った肉片としみついた肉汁をベロベロとナメとって……シシールの顔は下へ下へ。とうとう棒をつかむ俺の指についた肉汁をしゃぶり始めた。
うへぇ、ヤメロって! 飼い犬のことを思い出すだろ!
獣人の凄まじい野生に背筋がゾッとする。
このまま されるがままにしたら、指を甘噛みされそうだ。
「犬じゃないんだから。もっと人目を気にしてくれよ」
「ん? ああ、そうだな……スマン」
棒付き肉三本をアッという間に食いつくし、やっと人心地ついたようだ。
手の甲で口の周りを拭いながら、シシールは満足げにうなずいた。
「うう、生き返ったぞ」
「そいつは、よござんした。アンリなら、ただの塩漬けでゴメンねって言うのかな」
「いやいや、たかが塩漬け肉といって侮ることはできぬ」
「そうなの?」
「昔ミラノの都で食べた生ハム、プロシュートの味を思い出したぞ。あれもまた豚の塩漬け肉を熟成させた物だが、マエストロと呼ばれる一流の塩職人でなければ美味い生ハムは作れんのだ。凝縮された肉の旨味がまったく違う」
「へぇ。言われてみると、肉へ塩をすりこむアンリの手つきは職人っぽかった」
「お前が判ってやれないのでは、その腕も宝の持ち腐れだな。要らぬのなら、ウチの船でもらおうか?」
「や、やらねーよ、絶対! 彼女もそんな勧誘されたら『この世の終わりみたいな顔』をして拒絶するからな、きっと」
「ふっ、決して礼を忘れぬことだ。親しき間柄だからこそ……な。料理ならライガも得意だが、リザードマンの味覚は我々と異なるのか、味付けがしょっぱくてなぁ」
「要らないのなら、ウチでもらうけど?」
「ふざけるな、トレードでもお断りだ」
はいはい。素直じゃないんだから。
でも、アンリの目立たぬ努力を軽んじていたのはその通りかもしれない。
あまりにも身近すぎて気付けない事ってあるよな。
この無人島で俺たちが元気にやってこれたのも、縁の下の力持ちであるアンリの手料理があればこそ。彼女に深く感謝せねば。
俺がアンリに感謝を捧げていると、シシールが肩をすくめて言う。
「しかし、お前……よく戻ってくる気になったな。私と二人きりになるなんて怖いと思わなかったのか? 魔法の通じぬオオカミ女相手に、お前が出来ることなど何もないだろう? 乱暴されてしまうかもしれんぞ」
「まぁ、そうだけど。放っておけなかったし」
「ははーん、むしろ人目を忍ぶような行為をお望みだな? 睡眠欲、食欲ときて、残る欲求はどうなさいますか? そう尋ねてみたらどうだ? さぁ、男らしく」
「ムードのカケラもねぇぇ!! 開いた口が塞がらないよ。本当にうらやましい遠慮のなさだ。アンタにはきっと怖いとか、嫌われたくないとか、そんな感情はきっとないんだな」
「ないとも! ソッポを向いた相手は、力づくでコチラを向かせる。ただ、それだけのこと!」
「うらやまし過ぎる、そんな生き様。でも、そんなアンタでも恐れなきゃならん相手がこの島には居るんだ」
駄目だこりゃ、相手のペースに付き合っていたら話がまったく進まない。
アラミザケについて警告する。それが本来、俺の果たさねばならん用件なんだ。
おい、お色気はもういいから、聞いてくれ。
「ふーむ、アラミザケ? とりついて生き物を操れると? 私の部下が襲ってきたのも、ソイツの仕業であったか。成程な」
「もしアンタまで操られたら、ちょっと困ったことになるだろう?」
「確かに。魔法使いである限り、私には勝てぬよ」
悔しいけどおっしゃる通り。
しかし、ここは海賊流の図々しさに習って少し情報収集させてもらおうかな?
「そういえばさ、アンタにまほーが効かないのはどうしてなんだ? 極秘事項か?」
「食料を恵んでもらって今更……恩義には報いる。それが海賊流よ」
シシールは開いた胸元からペンダントのような物を取り出す。
それだけで甘く蠱惑的な香りが周囲に漂うのは、何というか凄い。
もう頭がクラクラするわ。
「これさ。父の旧友である『大魔女さま』にもらった風神の
「低レベルで悪かったですね」
首飾りには、ルーン文字めいた奇妙な模様が刻み込まれていた。
異国のまほーか?
北方のバイキングがこんな術式を扱っているそうだが。彼女にとってそれは思い出深い品らしく、どこか遠い目をしてシシールは語りだす。
「大魔女様は、むかし父の船に乗っていた。海賊の船にはマジナイ師が付き物でね」
「へぇ、お父さんも海賊なんだ。シシールの父さんなら、やっぱり獣人かい?」
「海賊だった。そして血の繋がりなどまったくない義理の父さ。何でも借金のカタに赤ん坊が譲渡されたらしい。これぞ私の一番の宝です。どうぞお収め下さいってな」
「ひ、ひどくね?」
「ふふっ、そんな物、よく育てる気になったものさ。ライガも、そして怪物海賊団の古株たちも、みな昔は父の船に乗っていた。フロンティア号といってな。私にとっての実家であり故郷だ。海の上を移動する故郷。クク、変わっているだろう?」
シシールの見つめる先には、夕日が沈む海があった。
波の音はいつも神秘的で心地よい。耳を傾けると浪漫をくすぐる響きがある。
胸にしみる夕焼けは きっと心の垣根を取り払う効果があるのだろう。
いつしか俺は、シシールの話にあふれる好奇心を抑えきれなくなっていた。
「へぇ~面白いな。もう少し昔話を聞かせてくれないか?」
「食った分だけは話そう。ハチミツとイカも貰うぞ?」
「どうぞどうぞ」
「イカゲソもいい。しゃぶっているとラム酒が欲しくなるな」
「あるわけないでしょ」
「それは残念。船乗りにはラム酒が欠かせないのに。嵐に巻き込まれ心が落ち着かない時は、それを呑んで気を紛らわせるのだ」
それって、呑んでる場合なんですかね?
諦めの境地か、単にする事がないのか。
それより昔話を聞きたいのだけど。
「……譲渡された獣人の赤ん坊は、船の雑用係をやっていたリザードマンに預けられた。そう、ライガさ。人の社会に憧れてフロンティア号の船員となったまでは良いが、下積み時代はライガも随分といじめられていたようで」
「あのライガが? 信じられない」
「あの語尾も可愛げがないからと、先輩方に強制されたものなんだとか」
「うーん、なんて厳しい境遇」
「良家のお坊ちゃまには想像もつくまい? だが、まぁ、私を育ててくれたライガには心から感謝しているよ。クソオヤジの船長よりはずっとな」
「なんか辛辣だな? 義理の父だから冷たかったとか?」
「いいや、少なくとも四年前までは尊敬していたさ。船長としての立ち振る舞いは全て父から習い覚えた。いつも豪快に笑い、誰よりも高みに登りつめたい男だった。ふん、いつまで経っても夢を忘れられない哀れな男め。奴は、いつだって胸中に薄暗い野心をくすぶらせていた」
「ふんふん」
「ズバリ言ってしまうと、海賊自治区を復活させたいという案も父の……ゴーシュ・ロイヤルボーンの計画でな。私達はその夢を継いでいるだけなのさ。もはやカビの生えた古臭い夢を」
「つまり、尊敬してたんだ。それがどうして?」
「四年前、父は方針を変えた。個人ではどうあがいてもロマナ帝国に勝てない。高みに上りつめる為には『むしろ懐に飛び込むべき』だってな」
「え? それはつまり?」
「お前の父は帝国騎士団なのだろう? 有名だぞ、ローズチャイルドよ? 父はお前の同僚になることを選んだのさ」
「はぁ!? 海賊が騎士団に? 敵同士だろ?」
「私掠船、または公儀海賊といってな。獲物をえり好みしない健全な海賊と違い、公儀海賊は『帝国に仇なす敵国の船』だけを襲う」
「他国の貿易を邪魔するのか? それって、海賊の皮を被った別の何かでは?」
「仲間の海賊すらも逆らうのなら容赦しない、裏切り者のインチキ海賊だ。海賊の風上にも置けぬ。自由よりも保身、寄らば大樹の陰って奴よ。その実態は、皇帝陛下に尻尾を振る
「あっ、そう言えばその名は父から聞いたことが! 『共食いシャチ』のゴーシュか。仲間を売る行為すら何とも思ない悪漢だと。てっきり海賊陣営の話だと思ってたのに……」
「ははは! 嫌われていただろう? 海賊上がり風情が! とんとん拍子に出世して軍の中枢に入り込んだのだからな。汚れ仕事の請負人は組織で重用されるのさ」
「なんか嫌だな、そんなの」
「私たちもそう思った。だから、四年前に父とタモトを分かち、新しい海賊団を立ち上げたのさ。ハクをつける為に見世物小屋を襲って怪物どもをペットにした。それが怪物海賊団の始まりというワケなのだよ。人狼の血がなせる業か、モンスターとも不思議とウマがあったのさ」
「へぇ、そんな経緯が」
「今では皆、家族も同然。子分は私を信じているし、私も怪物海賊団を守るべく命を削るのだ。私には責任がある。クソオヤジが投げ出した夢の続き、それをいつか必ず子分どもに見せてやらなくては!!」
うーむ、そうだったのか。
シシールも責任感が強すぎるから、思い詰めて暴走しちゃうのかな?
俺の失礼な想像など知る由もなく。シシールは陰険な笑みを浮かべる。
「帝国が海賊を雇っているなんて、裏の顔を知り落胆したか?」
「いやー、でも世の中ってそんなモンでしょ。蛇の道は蛇ってね」
「ククク、ついでに言っておくと、お前は父の若い頃にそっくりだ」
「え? どこが!?」
「いつでも遠くを見つめている その青くてキラキラした瞳ときたら! ああ、懐かしい! えぐって宝石箱にしまっておきたいぞ」
「おいおい」
「今は『共食いシャチ』かもしれんが、昔の父は『長手のゴーシュ』を名乗っていたな。俺ならば、どんな夢にも手が届く。何者にも縛られぬ、この世で最も自由な男だと! 本当にあの頃の父は格好良かった。私の憧れだった」
「確かにカッコいいとは思う。思うけど」
「やはりお前は海賊になるべきだよ? つまらぬ女を選んで、ツマラン人生を過ごしたいのか? そうではないだろう?」
「そ、それは……その」
「私と来い! 海は広い、そこには何でもあるぞ! 一度キリの人生だ。欲望のおもむくまま暴れ、好きなだけムサボれ。それこそが、海の男のあるべき姿! 私と分かち合おう、全てを!」
「うぐぐ、惹かれる。スゴク心が惹かれる」
「やはり! さぁ、私と行こう。もうあんな連中の所に戻る必要などない。ムードだと? クソくらえ! 今宵を一生忘れられぬ夜にしてやろう。他の誰でもない、この私が! 古き者を捨て去り、私を選ぶのだ」
「うーん」
「うふふ、お前を昔の父みたいにしてやろう。将来、道を違えぬ……本物の海の男に! けがれのないナイフを鍛えるのが、えらく楽しみだな!」
あぁ、この人は本気だ。本気で俺を誘っている
もしかすると、それは生涯にただ一度きりのチャンスで。
感謝すべき幸運なのかもしれない。でも……でもさ。
俺は顔を上げて言った。
「シシール、手袋を脱いで俺と握手してくれないか?」
「おやおや? 脱ぐのは手袋だけでいいのか?」
「いいから」
俺たちは夕焼けの下で握手をかわす。
黒い皮の手袋を脱いだシシールの手はスベスベだ。
肌荒れとは無縁、絹のような滑らかさだ。
アンリとは違う。
「やっぱりね。アンタ、あんまり労働してないだろ?」
「あ、当たり前だろう? 私は船長だぞ? それは子分の仕事」
「俺の帰りを信じて待つ人がいるから。俺はその人と苦労を分かち合いたい」
ポカーンと呆けた表情をさらした後、やがてシシールは拒絶に気付く。
「む? もしかして、私はフラれたのか?」
「良い夢みれたよ。一瞬だけど胸が熱く燃えた。あの夕日が沈む海みたいに」
「ならば、なぜ?」
「ツマラン人生。アンタはそう切り捨てるが、俺みたいな奴でも本当は薄々気付いているんだ。日常の中にだって冒険はある。発見もある。ただ、挑戦する気持ちを失くしてしまったから、それが判らなくなるだけで……悪いのは結局、薄っぺらで無気力な自分なのに。ツマランからといって退屈の反復から逃げ出すのは、やっぱり間違いなんだ」
「ふぅん? まぁ挑戦してない奴にあの肉は作れないだろうな」
俺も、誰かに教える事でようやく気づけたよ。
形として残したい「かけがえのない一瞬」
それは、いつも日常の中に在る。
そうだろ、キャル?
母が本当に伝えたかった事はそれなんだ。
感性を研ぎ澄まし、日々の感動を見逃すな……と。
少し間があって。
意外にも、シシールは俺の拒絶を豪快に笑い飛ばした。
「ふっ、誰かをフルことはあっても、フラれたのは初めてだ。もしも、気が変わったのならいつでも来い。また、お姉さんが相手をしてやるよ。覚えていたらな!」
「揺るぎないね。その清々しさはホント見習いたい」
「いじけた海賊なんぞ居らぬわ! 去る者は追わず、来る者は拒まずだ!」
『ほーう、ならば我も歓迎してもらえるのかな? 現代の海賊よ』
以前も感じた耳障りなテレパシー。
俺たちが振り向くと、そこには両目をランランと光らせた鹿が立っていた。
「なんだ? お前は?」
「シシール、気を付けて! 奴がアラミザケだ。お前の子分を操っていた奴だよ」
「ほほう、それはそれは。ならば、念入りに挨拶せねばならん」
おや? 怒りにまかせて暴走するかと思いきや、殊の外シシールは冷静だ。
海賊船長は歩み寄る雄鹿と対峙する。
「オーシンが言ったことは真か? 貴様が可愛い子分を誘拐したのかね?」
『いかにも。今は お前の手の届かない場所へ監禁してある。口の利き方は、それを踏まえた上で決めるべきであろうな』
「……了解だ。して何用かね?」
『お前がその子を誘っていたように、我は貴様を誘いに来た』
「鹿のくせに、もしくは植物のくせに私を口説くのか?」
『ははは、まさか。話を聞けば帝国と父を恨んでいるそうじゃないか。ならば共に戦う余地もあるのではないかと思ってな』
「おや、私を操るつもりではないのか?」
『それは少々望ましくないな。お前の子分全員を敵にまわすより、納得した上でパートナーとなる方が望ましい。あくまで、望ましいだけだが』
人質をとって脅した奴が納得だと? ふざけんなよ!
シシールは何度も俺とアラミザケを見比べてから、やがて口を開く。
「よかろう、考えてやらんでもないぞ」
「シシール!?」
『話が早くて結構けっこう!』
「だが」
『あん?』
「決断の前に知らなくてはならん。帝国に歯向かおうとする貴様の戦力と財力だ。まさか動物を率いて無人島でイキがるだけの小物ではあるまいな?」
『戦力なら、海賊自治区を滅ぼした古代の植物兵器が隠してある。だが、財力というのは?』
「戦争には金がいるのだよ。島に引きこもってばかりでは知らんか」
『バルバードが溜め込んだ宝石や金貨があったかな? 我には不必要なので、滅びた街に残したままであるが』
「素晴らしい! ぜひとも、それを拝見したいな!」
『ふむ、付いてくるがいい。案内しよう』
「ついでに隠してあるプラント・モンスターとやらも、その古代都市に向かわせてくれんか? いちいち歩かされてはたまらない」
『モンスターではない。神々の尖兵だ!』
「なんでもいい、頼むぞ。一目でわかるよう、ちゃんと全員を集めてくれよ」
おいおい、シシール? 金に目がくらんだのか?
そんな奴と手を組もうって言うの? マジで?
俺が口を挟もうとしたら、シシールは意味深な目配せをする。
「そういうワケで、私は行く。ここからは別行動だぞ、オーシン。では、ヨォーホーホゥ!」
うん? その言葉は? ライガに教えてもらった海賊の合言葉?
意味は確か……『お前も仲間』だっけ。
そうだよな?
それって、つまり? つまりだよ。
俺が混乱していると、シシールは焚火のそばから帽子と木馬像を拾い上げた。
三角帽子を被り、着崩れた上着を直すと、さも自分のモノであるかのように木馬像を持っていくではないか。待ってよ、それは俺の物なんですけれども?
アラミザケも怪訝な顔をしている。
『なんだ? その木馬は』
「気にするな。信頼する彼氏がくれたのさ。アイツに手を出したら許さんぞ」
いや、あげてないって! でも判りかけてきたぞ。
別行動。お前も仲間。信頼する彼。
それらのキーワードを繋ぎ合わせ出てくる答えなんて、もう一つしかない。
私がコイツを引き付けておくから、その間に人質の子分を救出してくれ。
シシールは、そう言っているのだ。
成功したら、オーシンペガサス号で知らせろと。
成程、わかったぜ、シシール。
内に秘めたアンタの信頼、確かに受け取ったぞ。
アラミザケが怪しみだす前に、俺は急いでその場を離脱する。
どうせ、あの小僧に出来る事なんて何もない。
アラミザケはそう考えるだろう。
人質の監禁場所なんて普通に考えてわかりっこないから。
でも、違うんだよなぁ。
アラミザケは宝の番人。初対面の時、自分でそう名乗っていた。
つまり奴の住処とは「宝の隠し場所」に他ならない。
それを知る手がかりは、まだ俺たちの手中に残されているぞ!
宝の地図。それが答えだ!
そこへ行かなくては! 今すぐに!
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