第3話健御名家

健御名家には大昔から独自の神社がある。


健御名家の神社が祀っている神は【タケミナカタ】という。


タケミナカタは【核】の神であり、核の根源ともいわれている。


つまり、耀の父親である”豪”は核は人工的につくられたものでないということを知っていた。


そして、「神渡り(みわたり)」というのは、タケミナカタが残したと言われている予言である。


神渡りとは大きな核の連鎖爆発である。一つの核が爆発したらそれに反応してほかの核も爆発してさらに連鎖していくというものである。


実は大昔から神渡りは何度も起こりそうになっている。


しかし、それを防いでいるのが健御名家の神社である。


具体的には健御名神社にはタケミナカタを中心に周りに四本の柱が立っている。


それぞれ名前があり、


【上前|じょうぜん】【上本|じょうほん】【下秋|げしゅう】【下春|げしゅん】

となっている。


この四本の柱が神渡りを防いでいるのであるが、いつまでも防げるわけではない。


そこで、健御名家はこの四本の柱を定期的に入れ替えることにした。


この入れ替えの儀式のことを四神木という。


四神木は7年に一度あり、次は2077年である。


そう、2077年には神渡りがくると言われている。


四神木と神渡りが同じ年に起こることなどめったにない。

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豪は耀に健御名家の儀式について説明した。


「ちょっと待ってよ。核の根源はこの御柱じゃないの?」


豪は難しい顔をしている。


「それは世間に公表していることだ。健御名家の関係者以外【タケミナカタ】が核の本当の根源なのかもしれないということは誰も知らない。」


健御名家は世界の核爆発をすべて起こさせるかもしれない神渡りの制御を任せられているのだ。


それを知らず7年に一度の儀式をただやらされていた耀は、何も知らなかった自分を責めた。


(なんでなにも聞かなかったんだよ。)


豪は顔をあげた。


「まあ、まだ時間はあるから選択は耀自身がきめろ。」


そう言って、豪は仕事に戻った。


何も考えれなくなり、ふらふらと立ち上がった耀。


帰ろうとしてビルのドアに手をかけようとした瞬間、後ろから激しい足音と一緒に叫びが聞こえてきた。


「耀くん!!!!」




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タケミナカタノミコト @yutetsu

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