夜明け

さあ、コーヒーを飲んだら一日を始めよう。

今日が晴れなら、散歩に行こう。

散歩は良い。ぼんやりと歩いているだけで、もくもくとアイディアが浮かぶ。

もっとも、その面白きアイディアを帰ってきて文字にしてみると、おそろしくつまらないものになるから、何とももどかしい。朝方に見る夢に似ていると思う。

見ているときはあんなにも楽しく、するどい迫力でもって迫ってくるのに、他人に話すと、たちまち面白き輪郭が崩れ落ちてしまう。

これは僕が話下手というだけではなく、誰もが経験することだろうと思う。

まあ、おいといて。


こんな駄文でも集めて束ねれば、いつか僕も立派に印税暮らしを送れるのではないかという夢を見ている。

どこに発表もしなければ、印税も何もあったものではないのだが。

『発表』という言葉はあまりにも大げさでやりずらい。

『発表』すると勝手に評価され、値踏みされ、万が一に首尾よくいったとしても、書けない続きを期待されて自由は奪われる。

そんなに言うなら、てめぇで続きを書いてくれ。面白けれはアナタがホンモノ。

それで、印税は半分くれと言いたい。


どうのこうのと、言いはしたが、好き勝手に駄文を綴って、朝にはコーヒーの宇宙を創るような、そんな暮らしを死ぬまで、したい。


それでは、そろそろおやすみなさい。

眠れない夜の話はこれですっかり、おしまいだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ある日 はるむら さき @haru61a39

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ