第13話 5組
指定された5組の教室にやってきた、クラスに属するなんて何年振りだろう、嬉しいようなちょっと恥ずかしいような複雑な心境だ
恐る恐る、教室のドアを開ける
ガラガラガラ
中に入ると、他の新入生も既に着席していた
黒板に書かれた席を見ると、3人横並びのようだ
手続きの時にパーティー申請したからだろうか
指定された席に、奥からクーデリカ・ミリア・俺の順に着席する、席は4人1グループが座れる形になっていて、俺の右隣にはフードを深く被った人
「初めまして、ユーキです」
お隣さんに軽く挨拶するが、お隣さんはペコッと会釈するだけで言葉は発さない、クーデリカと初めて会った時の事がフラッシュバックした
「おお、腑抜け面ではないか!」
聞き覚えのある声に目を向けると、隣の4人席の1番手前に、1ヶ月前に合間見えた、銀髪褐色肌のクロエが居る
「げっ!」
「随分な挨拶ではないか、腑抜け面」
思わず心の声が漏れていたようだ、まさか同じクラスとは…
「あの時は世話になったな」
笑みを浮かべながら、こちらに向かってくる、なんか、闘った時より可愛いくなってません??
てか、入学式から闘う流れになるんじゃ…
などと考えていると、突然胸ぐらを捕まれ、その瞬間唇に柔らかい感触が襲う
「っ!?」
「なっ!!貴方何してるんですか!!」
クロエにキスされていた
「なんだ?お前には関係の無い事だろう」
いつかのデジャブだろうか、ミリアとクロエが対峙する
「そ、そんな事ありません!関係あります!貴方こそ何故ユーキくんにキスなんて!」
「決まっているだろう、私と夫婦(めおと)となってもらうからだ」
ええええぇ!そうなの???
「話が飛躍しすぎていて訳が分かりません」
「お前に分かってもらう必要は無い」
いつゴングが鳴ってもおかしくない状況で、クロエの腰周りに巻き付く腕が現れた
「フラン!何の真似だ」
「いやいや、もう止めるタイミングでしょ…」
決闘の時、開始の宣言をさせられていた、くせっ毛緑髪のフランだ
「ミリアさん・腑抜け面さん、ウチのリーダーがすみません、この人今まで負けたことなかったもんだから、腑抜け面さんのこと気にいっちゃたみたいで…」
うん、事情は分かったけど腑抜け面は辞めよっか
ワーワー暴れるクロエは、無理やり席に戻された
「ユーキくん!貴方も貴方です!そんな簡単にキスされないでください!」
「いや無茶言わないでよ!無理やりだから!被害者だから!」
「じゃあ、クロエさんのキスは嬉しく無いって事ですか?」
膨れっ面で聞いてくる、これは世界一可愛い尋問選手権第1位です
「ふっ…修羅場……」
「クーデリカ!茶化さないで!」
どうなんですか?と詰め寄ってくる、逃げ場は無い
「びっくりはしたけど、ほんとそれだけで、嬉しくなんてないよ」
「そ、そうですか、だったらいいですけど」
なんとか修羅場を潜って安堵していると、教室に1人の男性が入って来た
「静粛に」
表情1つ動かさず、静かに発する男性
「私はこの5組の担任となったウイングです」
なんか怖そうな先生が担任になっちまったな
「この後執り行われる入学式の前に、このアカデミアのルールについての説明を致します」
それから、ウイング先生からアカデミアのルール説明が、淡々と、そして粛々と行われた
ある程度は普通の学校と同じようなルール、ハンターアカデミアらしいルールというと、生徒同士の私闘はNGだそうで、クロエ闘う事は避けれそうだ
「以上が、アカデミアルールになります。何か質問のあるもの」
教室を、猛禽類の様な鋭い眼差しで見渡す
「質問は無いようですね、それと生徒同士の恋愛は禁止となってます、肝に銘じておくように」
え?そうなの?
最後の発言に1部の生徒が反応する
「ウイング先生、それは本当なのか?腑抜け面と夫婦(めおと)となる目的に、弊害となるそのルールは頂けない」
クロエが席を立ち質問を投げかける、なんかこそばゆいから皆の前でそんな質問辞めてくれ
「夫婦(めおと)だと……?」
ピクっと体が硬直するウイング先生
「恋愛などにうつつを抜かしていて、このアカデミアで通用すると思うなぁ!!!」
今まで表情の動かなかった堅物先生が激昂する
「私は、今まで恋愛したことがない…それ故に、優秀なハンターになったのです、その経緯から、恋愛などに道を逸らさないよう、君たちを指導するのが私の義務だと自負している。決して、私が恋愛経験がないからという理由などではない!」
うわぁ、絶対恋愛経験ないからじゃん
あまりの熱弁に、その後誰も何も言わなかった、いや言えなかった
不憫に思ったのかもしれない
「取り乱してしまいましたが、入学式を執り行うグラウンドへ移動します、着いてきてください」
ウイング先生の先導で、俺たち5組の面々はグラウンドへと移動した
しかしこのアカデミアの敷地バカでかいな、5組のある第5校舎だけで、転生前の高校程の大きさがある
グラウンドに到着、他の組の新入生も合流し、1組20人の5組、総勢100人が一堂に会した
そして、入学式の定番アカデミア長の挨拶から始まる
「皆さん初めまして、アカデミア長の【カルティア】です、まずは皆さんの入学を、心からお祝いします」
The入学式、アカデミア長の挨拶から始まり、来賓の紹介など、お決まりの流れを一通り終え、再び教室に戻ってきた
「皆さんお疲れ様でした、この後、学力テストと狩りの技能テストを行い、初日は終了です」
え?テストあるの?
聞いてないんですけど??
「もちろんテストの結果によっては、登校が今日限りになる事も有り得るので、心して望んでください」
うそーん……
異世界転生の無駄使い〜狩りと魔物と学園モノ〜 @haramin
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