第12話 入学式
「え、や、え、あ、その」
ミリアの好感度上げるイベントなんてあったか??
突然の告白に分かりやすく戸惑ってしまう
「そんなに焦ってどうしたんですか〜?」
にひひと悪戯に笑う
「さっきのは、友達としてって意味ですよ〜」
「そそ、そんなのもちろん分かってたよ!」
もちろん真に受けた
「ユーキくんと過ごした1ヶ月間、とっても楽しかったんです、これまでの辛い王室での生活が嘘みたいでした」
出会った初日、王室の話をしていた時とは違い、心から笑っているのが分かる
「なので、入学前に改めてお礼を言いたくなっちゃいました」
「俺の方こそ2人と出会えて良かったよ、出会えてなかったら、今も平凡なら日々を過ごすだけだっただろうし」
俺の異世界転生ライフを、大きく動かした2人には本当に感謝しかない
「ユーキくん」
名前を呼ばれ、ミリアの方を向くと
「ん…??」
唇に柔らかく甘い感触
「これはほんの気持ちです//それから、さっき好きだって言ったこと…ちょっとだけは本気ですよ」
そう言い残して、1人家に入って行ってしまった
頭のなか真っ白だ、俺…ミリアと…キス…したのか!?
その後、暫く動けなかったのは言うまでもない
ーーーーーーーーーーーー
《入学式当日》
「ユーキくん、私が昨日書いてた書類知りません??」
「いや知らないよ!それより俺の筆記用具どこか知らない?」
前日、前夜祭にかまけて準備が疎かだった俺たちは、朝からバタバタの大騒ぎ
「…キスなんか……してるからだ……」
ドドドドキィィィ!!!
忙しなく動いていた俺とミリアが完全停止した
「ク、クーデリカ!なななんのこと言ってるのかなぁ??」
ミリアさん、その慌てようは自白しちまってますよ…
どうにか準備を終えた後、クーデリカの前に正座させられた
「…キス……説明…求む…」
なんか、今のクーデリカさん凄く大きく見える…
「クーデリカ、落ち着いて聞いてね、私…その、ユーキくんのこと…」
「はいはい…好き…なんでしょ……」
ええええぇ!そんなあっさりと?しかも何で知ってるの??
「そんなっ///クーデリカったら…」
「ミリアのこと…見てりゃ……分かる…」
クーデリカ…恐ろしい子…
「なら…良かった……」
「え、それだけでいいのか?もっと何か言いたい事とかないのか?」
あまりにもあっさりし過ぎているクーデリカに、思わず聞いてしまう
「うん…ユーキなら…問題ない…それに……私だけ…知らない…嫌だった……だけ…」
頬を赤らめぷいっとそっぽを向く
可愛いなこんちくしょう
「ところで…2人は……付き合った……?」
「え、あいや、それは」
「いいんです!」
弁明しようとする俺に割って入るミリア
「私が気持ちを伝えたくてしただけなので、今はそれだけで充分ですから」
「…?……ミリアが…いいなら…大丈夫…」
ミリアは顔が真っ赤になっている
「でも、いつかちゃんと返事してくださいね?」
正直、ミリアと付き合えるなんて嬉しいに決まってる、けれど、俺の脳内異世界転生シミュレーションが無反応なのが気になる
俺の気持ちの整理もしたいし、然るべきタイミングまではゆっくり考えさせてもらおう
ひとまず話が纏まった所で、ハンターアカデミアに向かう
ーーーーーーーーーー
《ハンターアカデミア》
「なんかすごい緊張してきた」
アカデミア入口で、無意味に体を動かして緊張を誤魔化す
「厳しい学校だとは聞いていますので、皆さんについて行けるか不安ですね」
銀髪褐色肌のクロエ曰く、1ヶ月で大半が辞めるって話だ、相応の覚悟をして望むべきだな
緊張と不安に苛まれながら、校内を進んでいく
「新入生!ご入学おめでとうございます!!」
校内は新入生歓迎ムードで溢れており、左右から歓声が聞こえる
「そういえば、生徒は俺たちの学年だけなんだっけ?」
「はい、ハンターアカデミアは1年制なので、生徒は新入生の私たちの代だけのはずです」
先輩がいないのは、個人的にのびのび出来て良さそうだ
校内を進み、アカデミア正面校舎へと入っていくと、木製のボードに、入学生であろう名前が貼り出されている
「どうやら、クラス分けが発表されてるみたいですね」
ボードには、1~5組までのクラス表の記載があり、俺たちは5組だと判明した
「5組の教室は、正門入ってすぐ右の所にあるみたいだな」
「時間に余裕がある訳では無いですし、早速5組の教室に向かいましょうか」
ボードが貼り出されていた校舎を出て、5組の教室がある第5校舎へ向かった
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