文化祭と焼きマシュマロ

砂上楼閣

第1話


「さて、準備はいいか?」


「うん、材料はこれで全部のはずだよ」


今日は甥っ子が、文化祭で出すメニューの練習のために家にやって来ていた。


テーブルに広がっているのは調味料と調理具、各種クッキーやらビスケット、そして大量のマシュマロ。


「ちょっと多くないか?」


ぱんぱんに詰まったマシュマロの袋はゆうに10袋以上あった。


さっき業務用スーパーで買ってきたんだが、大きな袋入りのマシュマロは、それだけでクッションや枕に使えそうなくらいでかい。


全部出せばマシュマロ風呂も夢じゃない。


そんなの間違っても一人じゃ食いきれないけどな。


食い切れたとしても腹の肉がマシュマロになっちまう。


「明日学校に持ってく分もあるし、練習用に色々試したいんだよね。やっぱバリエーション豊かじゃないと映えないし」


「あー、うん。ばえ、バエね。オッケー」


手軽に作れてお洒落なメニュー。


今回作るのは…


マシュマロに一手間かけて作る、お手軽お洒落な焼きマシュマロ。


その名もスモアだ。




一時期アウトドアとかで作るのが流行ったスモア。


確かアメリカとかカナダ発祥だったか。


オーソドックスなものだとマシュマロを軽く火で炙って、クラッカーなんかで挟むだけで完成する。


簡単だろ?


まぁ火を扱う以上、子供だけで試作するのはダメだって言うんで手伝う事になったんだが。


「そういや当日はどうするんだ?調理室とか他のクラスと奪い合いになるんじゃないか?」


「先生立ち会いでガスコンロなら使えるから大丈夫だよ」


「へぇ。まぁ最悪アルコールランプなんかでも作れるか」


「おじさん、今はアルコールランプは使ってないよ」


聞けば今の理科の実験だとアルコールランプじゃなくてカセットコンロなんかを代用してるらしい。


時代を感じるな。


ま、それはさておき、とりあえず作っていこう。




さっきも言ったが、スモアってのはシンプルだ。


火もコンロで直接でもいいし、フライパンを使ってもいい。


マシュマロを熱して、あとはお好みでチョコやらと一緒にクラッカーやクッキーとかの生地で挟んで食べるだけ。


ドライフルーツやハチミツ、チーズなんかを一緒に挟めば気軽に色んな種類を楽しめるぞ。


ようはマシュマロサンド的なあれだ。


なんならマシュマロってのは色んな創作料理に使える。


焼いてタルト生地に乗せてもいいし、とろりとケーキにかけるように乗せたっていい。


まぁ文化祭だし、手間を考えるならつまんで一口で食べられる方がいいだろうが。


「おじさん、マシュマロって色んな料理に使えるんだね」


「おうよ。フライパンに並べて焼いてやれば一気にできるぞ。まぁ冷める前に手早く取って挟まないといけないけどな」


タイミングをミスるとマシュマロ同士がくっついて一つになる。


それかあえてマシュマロを敷き詰めて焼いて、マシュマロそのものを生地にしたっていい。


甥っ子からの尊敬の眼差し、プライスレス。


いつの間にかテーブルにはスモアだけでなく、様々な種類のマシュマロ料理が並んでいた。




そしてその夜。


「で、言い訳はある?」


俺はテーブルに並んだマシュマロ料理の横で、床に正座していた。


開けた一袋以外は甥っ子が持って帰ったんだが、いかんせん一袋が大き過ぎた。


ほとんどのマシュマロ料理はお土産に持たせたんだが、甥っ子が帰った後も興が乗って色んなマシュマロ料理を追加で作ったのがいけなかった。


どうせならもっと色々と凝ったものを作ろうと、残ったマシュマロ全てと買って来たチョコやら何やらもほぼ全て使い切った。


結果、まるでこれからお店のショーウィンドウに並べるのかと言わんばかりに大量のマシュマロ料理がそこにあった。


「全部食べ終わるまでは、ご飯抜き」


「手伝ってくれたりは……」


「今ダイエット中。これのカロリー全部計算してみなさい」


「はい…」


こうしてしばらく俺の食事はマシュマロになった。


そして俺のお腹もまた、マシュマロになったのだった。




よければみんなも色々と作ってみてくれ!


寒くなって来たらあったかいミルクやココアに炙ったマシュマロいれても美味しいぞ!


それではいずれまた。


作り過ぎには注意だ!

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文化祭と焼きマシュマロ 砂上楼閣 @sagamirokaku

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